二天一流

フェンシングのようなセンサーの導入で限りなく真剣勝負に近い試合ができないか

フェンシングセンサーの武道への応用

最近、スポーツ界でも様々なテクノロジーが導入されて、より勝敗の透明性を高めたり、判定の精度を上げたり、ショー化を進めたり、ということが進められているようです。

たとえば、フェンシングでは何十年も前からセンサーによる自動判定が行われていますし、最近ではテコンドーも判定へのセンサーの導入を進めているようです。

格闘技系のポイント制のスポーツと、センサー判定は相性がよさそうですね。

そこで、フェンシングのようなセンサーによる判定を剣術、古武道にも持ち込んで、より真剣勝負に近い形で試合形式が導入できないか、という考えが思い浮かびました。

現代武道と古武道の「試合」という問題

一般的にはあまり知られていないことかもしれませんが、剣道、柔道、スポーツ系の空手などの現代武道と、古流剣術、古流柔術、古流空手などのいわゆる古武道とは、その形態が大きくことなっています。

ざっくり分けると、現代武道は試合形式による勝敗を重視し、古武道は昔から伝わる稽古の形態をそのまま残すことに努め、試合はないか、あってもメインではなく、あくまで型稽古や伝統的な鍛練を重視しています。

古武道がこのように試合形式の導入に積極的ではないのは、武道が「命の奪い合い」に本質を持つからです。

倫理的な問題ではありません。

できるだけ相手に深刻なダメージを与えるべき「命の奪い合い」である武術と、できるだけ怪我をせず、安全に行う必要がある試合とは、その本質が矛盾するからです。

これまでも、防具を付ける剣道や、柔らかい畳の上で行う柔道、寸止めをする空手、顔面パンチを禁止する空手など様々な試合形式が導入されてきたのですが、試合が導入されると、防具やルールによって戦い方が最適化され、次第に「その競技に勝つため」の戦い方を追求する武道へと変わっていきます。

これは、様々な武道の歴史上見られてきたものです。

そのため、現代武道は競技化を進め、古武道はそれに逆らう、という形で分離してしまっているのが現状です。

つまり、武道の本質を重視すればするほど、試合形式とは相性が悪くなるというのが最大の問題なのです。

※私がやっている二天一流では、現状試合形式の稽古は行っていませんが、上記の矛盾を克服できる形態で、かつ上級者に限定するのであれば、試合形式の導入は可能だという見解です。

テクノロジーで限りなく真剣勝負に近い試合ができないか

上記のように、武道における試合の導入には「競技化し、本質から外れてしまう」という問題があるのですが、これを技術の力で最小限にできないか、というのが今回考えたことです。

ここでの課題は、武道の本質にできるだけ外れない形で、試合形式を導入できないかということです。

武道の本質に外れない形での試合とは、ざっと考えると以下のような条件を満たすべきであろうと思われます。

  1. 武器は重く本来の形態に近いものにする
    →日本刀は通常1kg前後あり、剣道のような振り方は本来できないし、竹刀は柔らかく日本刀ならできる技が、使えない場合がある。
  2. 体へのダメージは最小限にする
    →怪我防止。
  3. ダメージを何らかの形で計測する必要がある
    →ダメージの箇所(急所か否か)を正確に判定する。
    →ダメージの威力(圧力)を正確に判定する。

①はいくらでも満たす方法があります。②は、現代の技術を使えば安全かつ頑丈な防具は作れそうです。

一番難しそうなのが③なのですが、この点について、フェンシングやテコンドーの世界で導入されているのであれば、その応用で導入できるのでは、と思います。

調べてみると、フェンシングのセンサーは、剣そのものについていて、相手に一定の圧力で接した場合に、一定のポイントとして加算される仕組みになっているようです。

ここで注目すべきは、フェンシングの世界では「圧力が測定できる、軽量センサーが導入されている」ということです。

これは、そのまま日本の武道の試合にも導入できるのではないでしょうか。

導入した場合の具体的なイメージ

仮にセンサーを導入できたとしましょう。すると、前述の問題はどのように改善できるのでしょうか?

まず、①で武器を重くすることで、使う技は真剣勝負に近いものになるはずです。

次に②が実現できれば、安全に真剣勝負に近い試合が可能になります。

ここまででも真剣勝負に近づけることができるのですが、問題は判定の難しさです。本当に相手にダメージを蓄積するわけではないため、このままでは「軽く当てる」「振り切らず、当たったところ止めてすぐに引く」などのテクニックが流行する可能性があります。

そこで、③です。

たとえば、

  • 急所(顔、首、そけい部など)への攻撃は高ポイント
  • 打撃力(斬撃力)が強いほど高ポイント
  • ダメージが生身の場合の戦闘不能や死亡レベルに至った場合、勝敗決定

といったことがセンサーで計測できれば、少なくとも技術面では、真剣勝負に限りなく近づけることができます。

さらに、勝敗だけでなく、選手ごとに「攻撃ポイントの多さ」「防御ポイントの多さ」などをランク付けできれば、より強さが分かりやすくなるのではないでしょうか。

完全に空想の話ですが、近い将来に実現できるのでは、と思っています。

すでに鎧を着けて殴り合うような競技(イベント)も開催されているため、一定の需要も見込めそうです。

いずれ私自身が開発したいとも思いますが。

古武道界のみなさん、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
ふかや
福岡出身、川崎在住。古武道の修業と仕事を両立するための道を模索中の28歳フリーランス。人の可能性を拓くことに興味を持ち、2018年からコーチングを学び、日々セッションの修業中。趣味は琉球古武道、読書。