「まず何かを加えよう」とする本能
体に不調を感じると、多くの人はまず「何かを足す」ことを考えます。サプリメントを足す。ストレッチを足す。トレーニングを足す。
しかし、このアプローチが的外れになることは、意外と多い。JINENが「マイナスのアプローチ」を掲げる理由がここにあります。
人間には「足し算バイアス」がある
近年の認知科学研究で、人間には解決策として「加える」ことを直感的に優先し、「引く」ことを見落としやすいという傾向が明らかになっています [1]。
実験では、参加者にレゴブロックで作った不安定な構造を安定させるよう求めました。最も効率的な方法は「土台のブロックを1つ取り除く」ことでしたが、ほとんどの参加者はブロックを足すことを選びました。
この「足し算バイアス」は体の問題にも当てはまります。
体の硬さは「足りない」のではなく「余計」がある
肩こりや腰痛で悩む方の多くは、筋肉が足りないのではなく、不必要な筋緊張が蓄積した状態にあります。
「体幹が弱いから腰が痛い」と考えてコアトレーニングを足しても、元の過緊張状態に筋肉の力をさらに加えるだけになることがあります。
JINENのアプローチはその逆です。
1. まず余計な緊張を「引く」(脱力・ゆだねる)
2. その後に必要な動きを「学習させる」
この順番を逆にすると、体はうまく変わりません。
「引く」具体的な練習
余計な力の発見:
- 歩くとき、肩や顔に不要な力が入っていないか確認する
- 椅子に座るとき、お尻と太ももの力を抜けるだけ抜く
- スマートフォンを持つとき、握る力を最小限にする
「足さない」ためのチェック:
新しいワークや健康法を始める前に、「今ある何かを取り除くことで改善できないか」を先に問いかけてみてください。
- 食べるものを増やす前に、何か減らせるものはないか
- 運動を増やす前に、何か過剰になっているものはないか
- 情報を増やす前に、何か削れるものはないか
体の本来の機能は、付け加えることで生まれるのではなく、邪魔しているものを取り除くことで現れます。これがJINENの「マイナスのアプローチ」の核心です。
参考文献
1. Adams, G. S. et al. (2021). People systematically overlook subtractive changes. Nature, 592(7853), 258–261. DOI