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『うつと発達障害』(青春出版社)の要約・感想

2021年8月18日

岩波明『うつと発達障害』(青春出版社)を読みました。

発達障害の人が社会に出ると、二次障害としてうつ病などの精神疾患を発症することが多いということを耳にしたことがありましたが、まさにそういうテーマです。

なぜ発達障害の人がうつ病を発症しやすいのか、この本でよく分かりました。

『うつと発達障害』から学んだことをまとめます。

1章:『うつと発達障害』の要約

発達障害の有病率は、ASDよりADHDの方が多い。

ASDは周囲との関係性から生まれるが、こだわりの症状がなければ診断されない。

発達障害は生まれつきであり、長年症状は安定するもの。そのため、大人になって出てきたというものは違う。

ASDは極端なマイルールを持っていることが多い。人口の1%くらいで、ADHDの5%に比べてもっと少ないと考えられている。

1-1:ASDの特徴

ASDの特徴は、当然やるべきことも、自分が重要だと思わなければやらないということ。

子どものころから人間関係に問題を持っている。最近苦手になった、という人はASDではない。

①対人関係、コミュニケーションの持続的な障害

人の感情が分からない、空気が読めない。引きこもりになりやすい。

対人恐怖、社会不安と近いが、不安ではなく関わりを好まないというもの。

冗談が通じない、非言語コミュニケーションが分からない。しかし、成長の過程で、振舞い方をパターンのように認識していく。

➁限定され反復される行動、興味

柔軟な対応が苦手。マイルールがある。ルールのある作業が得意。

決まり切ったことを正確にこなすのは得意。

計画変更、段どりの乱れ、無茶ぶりなどに弱い。

「やりたくないからやらない」ということが多い。

標準化、ルーティン化できる仕事が向いている。

ASDは過剰に没頭する人が多く、天才も多い。

うつになりやすい。

1-2:ADHDの特徴

実は、多動が目立つケースは多くはない。あっても手足もじもじ、きょろきょろ、貧乏ゆすりなどで、立ち上がってうろうろするようなケースは少ない。

①不注意

思春期以降は、不注意、衝動性が主になる。これは、忘れ物が多い、なくす、人の話を集中してきけない、聞き漏らしが多い、片付けが苦手など。ただし、特定の事には集中できることが多く、興味のないことに集中できない。また、依存症になりやすい。

ADHDは、推定では日本に400万以上いる。

➁発想が豊か

マインドワンダリングで、豊かな発想ができる強みがある。一方、ぼんやりしがちで興味のないことに集中できない。

③衝動性

話すスピードに考えるスピードが追い付かない、並べない、約束をキャンセルしたくなる、関心が移りやすいなど。束縛を嫌う。

独自に工夫しているケースもあり、飽きたら次の仕事に移る。忘れないように前日に準備するなどしている。

ASDの場合は、似た衝動性があらわれるが、ASDはしてはいけないことの意識が希薄であるため、衝動性の症状があらわれる。

落ち着きのなさは努力である程度抑えることができる。しかし、やらないといけないと思っていても手が付けられないこともあり、興味のあることには過剰集中できる。

大人になってADHDの傾向が顕在化するケースも多い。

治ったように見えても、自覚して不得意なことを避けていたり、努力しているケースも多く、内面では治っていない。仕事中、ADHDの問題に対処しようとしているため、帰宅して疲れ切って家ではADHDの特徴が出てしまうこともある。

1-3:ADHDの特徴(仕事など)

ADHDは専門職が多い。

注意を向け続ける「持続性」、いくつものことに注意を分散できない「分配性」、切り替えられない「転換性」の問題を持っている。

ADHDは目の前の1つ1つのことに囚われてしまう。頭の中でやらなきゃいけないことが分かっていても、興味を優先してしまう。先延ばし癖があり、締め切り前に追いつけられて行動することも多い。

ADHDは遅刻が多く、準備が苦手。

マルチタスクが苦手。

2章:『うつと発達障害』の感想

簡単にまとめましたが、発達障害の特性は通常の社会生活、特に仕事において不都合をきたすことが多いため、周囲との軋轢が生まれて過度なストレスを溜めてしまうということなのでしょう。

特にASDであればコミュニケーションの齟齬が多くなったり、非定型的な業務が苦手でイレギュラーに弱く、ミスが増えてしまうことなどがあります。ADHDであればミスが頻発しやすいでしょう。

そもそも、仕事の内容自体が素早い、臨機応変な対応が求められるサービス業や知識産業が増えたために、そういうことが苦手な特性を持つ人たちにとって生きづらい社会になっている、ということもありそうです。

産業構造が高度化し、農林水産業のような個々人でできるもの、製造業の現場のように定型的な作業を行う仕事は減っています。どのような業界でもこのような流れは止まらないでしょうし、今後はさらに発達障害と二次障害としての精神疾患の問題は増えていくことでしょう。

そういう意味でも、多くの人が読むことをおすすめします。

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