あなたは「人を動かしたい」「人を成長させたい」という時に、どのような手法を使っていますか?
コーチングのスキルや考え方を身につければ、今よりももっと人を動かし、成長させ、人から信頼される人間になれるはずです。そのため、ビジネスの現場ではもちろん、家族関係でのコミュニケーションや子育て、仕事外での成長のためにも有効な手法なのです。
したがって、以下のようなお悩みはコーチングで解決することができると考えています。
- 人間関係を円滑にしたい
- 人や自分の目標達成や成長を実現したい
- マネジメントにおける課題を解決したい
- 自分で考え、行動し、課題解決していける人(部下や子供)を育てたい
- もっとクライアントの本質的なニーズを解決したい
- リーダーシップを高めたい
- ぶつかりがちな人との人間関係を改善したい
- チーム、組織のパワーを最大限発揮できるようにしたい
そこでこの記事では、コーチングのより具体的な手法について、徹底的に詳しく解説します。
読みながら、できることからはじめてみてください。
それよりも、コーチングの基本的な考え方を知りたい場合は、以下の記事をお読みください。
※なお、この記事で解説することは私が学び、実践し、私なりに解釈したものです。本格的なコーチングを学びたい場合はコーチングスクールで学ぶことをおすすめします。
コーチングのやり方の全体像
それでは最初に、コーチングのやり方の全体像を紹介します。
このように、コーチングは、大きく分けて3つのステップで進められるものです。さらに、それぞれの段階の中により細かいステップがあり、基本的にはこの流れに沿ってセッションを進めていくことになります。
絶対に流れの通りでなければならないというわけではありませんが、慣れないうちは流れに沿って行った方がスムーズです。
コーチングのやり方を3つのステップから解説
それではこれから、これらの流れについてより詳しく解説していきます。
目標設定
まず行うのは目標設定です。目標設定では以下のことを行います。
- セッションの準備(環境、心、内容)をする
- セッションのゴールを決める
- テーマを具体化する
順番に詳しく解説します。
セッションの準備(環境、心、内容)をする
まず、セッションに入る前には「環境」「心」「内容」の準備が必要です。
- 環境の準備
落ち着いて話せる環境で話す(人がいない、静か、リラックスできる、など)。 - 心の準備
コーチとクライアント(もしくはあなたと部下)の間に何でも話せる信頼関係がない場合、アイスブレイクや雑談を入れて心をほぐしておく。 - 内容の準備
事前に何をテーマにするか聞いて、ある程度考えておいてもらう。
コーチングセッションは、クライアント(部下など)からすれば緊張する場であることが多いです。特に、はじめてセッションする場合はなおさらのこと。また、コーチングをする側であるあなたの方も、セッションに自信がなければ緊張し、スムーズに話せないかもしれません。
そこで、上記3つの準備をしておくことが大事なのです。
特に、テーマがある場合はこちらから伝えておき、考えておいて欲しいことを伝えておくことが大事です。また、セッションをより円滑にやりたい場合は、事前にクライアント(部下)に話したいことを教えてもらっておいて、コーチであるあなた側もある程度質問することを考えておくと良いでしょう。
テーマを具体化する
準備が整ったら、クライアント(部下)が持ってきたテーマを具体的にする段階に入ります。
ここでは、
- 今何が起こっているのか?
- どんな問題を抱えているのか?
- どんな目標を達成したいのか?
を聴いて、現在の悩みや状況についてしっかり認識を共有しましょう。
テーマを具体化する段階では、以下のことがポイントです。
- ゴール:どうなったらゴール?
クライアント(部下)が持ってきたテーマについて、どうなったらゴールなのか、何ができたら達成したことになるのかを聴きましょう。ゴールが明らかになったら、いつまでに達成したいのか期限も聴きましょう。 - テーマの目的:何のためにテーマを達成したい?その目的は?
テーマとして持ってこられるのは、たいてい目先の解決したい課題です。そのため、 - 価値:どんな在り方・姿勢で取り組みたい?
コーチングでは、目標に向かう在り方・姿勢も大事にします。そのため、テーマに向かってどんな在り方で向かうのかも具体的にします。 - 全体の把握:他に気になっていることはないか?
コーチングでは、目先のテーマだけでなくその人自身が全人格的に成長できることを重視します。そのため、その日のテーマ以外にも気になっていることはないか、解決したいことはないか聴いてみることが大事です。その日直接扱わなくても、他の気になることを知った上でセッションするのと、知らないでセッションするのとでは、関わり方が異なります。
テーマを具体的にする段階では「4W1H」の質問を心がけてみてください。
【4W1Hの質問】
- What:何をする?何を使う?
- When:いつまでにする?
- Who:誰とする?誰がする?
- Where:どこでする?
- How:どうやってする?
※コーチングでは「Why」の質問は基本的に「What」や「How」の質問に置き換えることが大事だとされています。「Why」の質問は原因追及に向かい、人によっては後ろ向きな姿勢になってしまうからです。
最初にテーマを具体化しておくと、それからのセッションがスムーズに進みます。しっかり時間をかけて目標設定しましょう。
セッションのゴールを決める
次にその日のセッションでは何ができたらゴールなのか明らかにしましょう。
つまり、
「セッションが終わったときになっていたい状態」
を明らかにし、それについて合意することが大事なのです。
なぜなら、どのようなテーマであっても、掘りさげようと思えばどこまでも掘りさげることができ、いくら時間があっても足りなくなってしまうからです。
そのため、最初の段階で、今日はどこまでやるのか、何がセッションのゴールなのかを聴いて決めることが大事なのです。
現状分析
目標設定が終わったら、次に現状分析の段階に入ります。
現状分析では、
- 現在地の確認
- リソースの棚卸し
- 想定される課題、障害とそのアプローチを明らかにする
ということをやります。
順番に解説します。
現在地の確認
まずは、クライアント(部下)が現在、目標達成していくプロセスの中のどこにいるのかを明らかにします。
ここでの有効な質問は「ゴールを山頂としたときに、現在地は何合目?」「マラソンなら何キロ地点?」などです。相手がイメージしやすい言葉を選ぶとより良いですね。
具体的な数字を出すことで、クライアント(部下)自身で現在地をハッキリ認識することができるため、これからの行動計画を考えやすくなります。
リソースの棚卸し
次にリソースの棚卸しをします。
リソースとは、目標達成のために活用できるすべてのもののことです。たとえば、以下のようなものがリソースとしてあげられます。
- 環境
- 人間関係
- 時間
- 知識、スキル、経験
- パーソナリティ
- モノ、道具
これらについてクライアント(部下)に以下のように質問して、できるだけたくさん出してもらいましょう。
「目標達成する上で、今持っているものの中で活用できるものは何?」
リソースを出したら、次にそれぞれのリソースを深掘りしていきます。
たとえば、以下のように尋ねてみます。
クライアント「〇〇さんに手伝ってもらえるかもしれない」
↓
コーチ「どうしたら手伝ってもらえますか?」
クライアント「〇〇があれば目標達成に活用できる」
↓
コーチ「〇〇はどうしたら手に入りますか?」
この段階で、コーチ側であるあなたは「そんなもの使えないだろう」「現実的じゃない」と思うこともあるかもしれませんが、それを口に出してしまうと相手を萎縮させ、柔軟な発想でリソースが出てこなくなります。
そのため、相手が話すことは否定も肯定もせず、リソースをたくさん引き出し、具体化するということだけに集中しましょう。
この段階でリソースをできるだけたくさん出しておくと、行動計画を考える上でたくさんの選択肢が出てきます。
想定される課題、障害とそのアプローチを明らかにする
次に、現段階で想定できる課題、障害を考えてもらいます。
目標達成をする上で大事なのが、事前に「想定できる課題、障害」を出しておいて、その課題、障害が出てきた時の対処法を考えておくことです。
なぜなら、行動する中で想定外の課題、障害が出てきた場合、そこで気持ちが折れて挫折してしまうことがあるからです。事前に対処法まで考えておけば「この場合はこうすれば良い」とすぐに判断して対応することができるため、先に考えておくことが大事なのです。
この段階では、最初に起こりうる課題、障害を引き出し、それが出てきた時に現実的な対処法まで決めておきます。
行動計画
ここまで考えたら、次にようやく具体的な行動計画を立てる段階に入ります。
ここでは、
- 行動計画の作成・確認
- 結果の確認方法を決める
- フィードバックする
ということを行います。順番に解説します。
行動計画の作成
ここではずばり、
「目標を達成するためには、何をすれば良いか?」
と聴きましょう。つまり、質問は「How」が中心になります。
行動計画作成時のポイントは、以下のものです。
- 必要な行動をたくさん出す
まずは抽象的で良いので、できるだけたくさんの行動を引き出しましょう。すべてを実際にやる必要はありませんので、考えられる選択肢をブレストするイメージです。 - 行動を絞り込み、優先順位を決める
引き出した行動、選択肢の中から現実的に取り組めるものを絞り込んで、優先順位を付けていきます。 - スモールステップに分解する
優先順位の高い行動を、今すぐ取りかかれるレベルまで分解します。行動する前に行動方法を考えなければならない場合は、スモールステップになっていませんので、もっと細かくできないか提案してみましょう。 - さらに具体化する
行動方法を具体化できたら「期限」「関係する人」「使うリソース」「進捗を確認する方法、基準」「目標までの行動のステップの順番」などを具体的にしていきます。
上記のことを明らかにする上でも、4W1Hの質問を使いましょう。あなたの方から結論を出したり提案したりすると、相手はそれに頼ってしまいますので注意してください。
ここでは、以下のように質問することで、より柔軟なアイディアが出てきます。
- 一切の制限がなければ、どんな方法を取るか?
- 理想の自分なら、どんな方法を取るか?
- 余命1年なら何から取りかかるか?
- 10億円持っていたら、どんな方法を取るか?
- 同じ課題を持つ友人がいたら、何から取りかかるようにアドバイスするか?
さらに、行動計画を作る段階では以下のような質問をして、行動を遂行していく中で本当に問題がないか再確認することが大事です。
ここまでは、基本的にオープンクエスチョンで質問してきましたが、ここではクローズドクエスチョンも使って、計画を詰めていくことも必要です。
- 本当に現実的な計画になっているか?
- 目標までのステップは厳しすぎず、易しすぎないレベルか?
- もし計画の遅延や、計画を遂行する上での障害が出てきた場合、どうしたら良いか?
- 目標達成には前向きに向かえるか?(どんな気持ちで行動できそうか?)
- さらに付け加えるべき行動や要素はないか?
- 行動の進捗の評価基準は明確か?
- ゴールの期限は適切か?
ここでは、現実的に行動に取り組めること、その行動を通して最大限成長できることをテーマにして計画を詰めていきましょう。
結果の確認方法を決める
行動計画が立てられたら、行動の進捗やゴールの達成についての確認方法を決めましょう。決めるのは以下のことです。
- 報告する日程
- 報告する方法(メール、直接話すなど)
- 報告する内容
あなたも経験があると思いますが、最初はしっかり行動を立てても、ついつい行動せずに終わってしまうことも多いですよね。
しかし、コーチに報告する日付や方法、内容を決めておくことと緊張感が生まれるため、クライアント(部下)はより行動が続きやすくなります。したがって、行動の確認方法については忘れずに決めておくようにしましょう。
フィードバックする
最後に、お互いにセッションについてフィードバックを行います。
まずは、クライアント(部下)に対して、以下の質問をしてクライアント(部下)自らの口から行動をコミットメント(宣言)してもらいます。
「これから行う行動を宣言してもらえますか?」
ただやることを決めるだけでなく、自らの口から宣言してもらうことで、より行動を起こす気になってもらうことができます。
次に、以下のように質問して、今回のセッション全体を振り返ってもらいます。
「今回のセッションを受けてみて、どのように感じましたか?」
こうしてセッション全体についても自らの口から、素直に評価してもらいます。
最後に、コーチ側であるあなた自身が、セッションを通じて感じたことや応援する言葉などを伝えて、セッションを終了しましょう。
以上がコーチングのやり方の流れになります。
より質の高いコーチングをするためのポイント
コーチングのやり方について理解できましたか?
上記の流れはあくまで基本的なものですので、いつもこの流れの通りにやればうまくいくとは限りません。そこで、以下のポイントについても知っておいて工夫しながらセッションを行うことも大事です。
- アドバイスや考えの押しつけはしない
- 定期的に行う
- 基本の流れにとらわれない
- コーチングスキルを高める
順番に解説します。
アドバイスや考えの押しつけはしない
コーチングにおける基本的な考え方ですが、コーチ側は基本的に、アドバイスや自分の考えを伝えることには慎重になるべきです。
なぜなら、セッション中にコーチがアドバイスをするとクライアント(部下)が自主的に考えなくなってしまうからです。コーチングはあくまで、クライアント自身が考えることをサポートする手法です。そのため、コーチ側は、クライアント(部下)が自分で考え、答えを引き出すことのサポートに徹しましょう。
もちろん、クライアント(部下)のためには伝えるべき情報もあると思います。その場合、あくまで自分が考えたことであることを前置きした上で、アドバイスすることをおすすめします。
定期的に行う
コーチングは、基本的には何度も繰り返し行うものです。
繰り返し行うべき理由は、以下の通り2つと考えています。。
- 人の行動はそう簡単には変わらないため、繰り返しセッションして徐々に行動を変えていくことが大事であるため
- 本当にテーマにすべきは目先の問題よりも、より本質的なその人自身の成長であるため、繰り返し行う中で向き合っていくべきであるため
もちろん職場でのコーチングなどなら、目先の問題を解決することも大事だと思いますし、回数が限られていることもあるかもしれません。
とは言え、やはりできるだけ繰り返し行って、行動や成長を長期的にサポートすることが大事です。
基本の流れにとらわれない
この記事では、コーチングの流れを「目標設定」→「現状分析」→「行動計画」という流れで紹介しました。
しかし、これはあくまで基本の流れであり、実際のセッションでは話が別の方向に向かうこともあります。その場合、強制的に流れを基本のものに変える必要はありません。
コーチングでは「クライアント(部下)が話したいように話してもらう」ことが大事です。基本の流れにこだわらず、相手が話したいことを話せるように誘導することができれば、その方がより高い効果が得られることもあります。
コーチングスキルを高める
コーチングは様々なスキルやマインド、考え方が体系化されたメソッドですので、
- プロコーチからコーチングセッションを受ける
- コーチングスクールでコーチングを学ぶ
などの方法で実体験して学ぶことをおすすめします。
私自身、以前はコーチングなんてよく知らず、本を読んでもどんな方法なのかほとんどイメージできませんでしたが、コーチからコーチングを受けたり、コーチングスクールでコーチングを学んだりすることで、セッション相手に様々な気付きを与え、前向きに行動できるように促すことができるようになりました。
より質の高いコーチングができるようになりたいなら、本格的に学ぶことが一番の近道です。
まとめ
コーチングのやり方について学ぶことはできたでしょうか。
私もまだまだ修業中ですので、これからもっと質の高いセッションができるように、より自分らしいコーチングができるように、腕を磨いていこうと思います。
■剣術師範、整体師(身体均整師)、ライター。セルフケア・トレーニングのオンライン教室運営中。
■池袋周辺で施術・トレーニングを行います。【旧:ふかや均整院】
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