コーチングの基礎知識

【コーチングとティーチングの3つの違い】効果を最大化する使い分けとは

コーチングとティーチングの違い1

あなたは「コーチング」「ティーチング」の違いをご存知ですか?

コーチングとティーチングは似ているようですが、実は大きな違いがあります。

どちらが良いというものではなく、シチュエーションや目的によって使い分けるものです。

具体的には「目的」「手法」「対象者の関係性や態度」などが異なります。

コーチングとティーチングはそれぞれ役割が異なりますので、適切に使い分けることで、どちらか一方だけを行うよりもずっとコミュニケーションの質を高めることができるでしょう。

この記事では、私がこれまでコーチングを受け、学んできた中で分かったコーチングとティーチングの具体的な3つの違いと使い分けを解説します。

興味がある所から読んで、あなたの仕事や生活に役立ててください。

コーチングとティーチングの5つの違い

それではコーチングとティーチングの違いについて解説していきますが、まずはそれぞれの定義上の違いから確認しましょう。

【コーチング】

コーチングとは、コーチが対話を通じてクライアントの中から考えや感情、価値観、アイディア等を引き出し、問題解決や成長をサポートする手法。

これに対してティーチングとは以下のようなものです。

【ティーチング】

ティーチングとは、指導者が相手に対して知識や問題解決の手法を提供し、相手の問題解決や成長をサポートする手法。

定義は確認できましたか?それではこれから、さっそくコーチングとティーチングの5つの違いについて解説していきます。

目的の違い

コーチングとティーチングは、そもそも目的が異なります。

コーチングの目的は「対話によって、クライアントから答えを引き出すこと」です。

そのため、答えはコーチがサポートしながらクライアントが自ら導き出します。

それに対し、ティーチングの目的は「教える側から教わる側への知識・ノウハウの提供」です。

そのため「教わる側」は「教える側」から答えを教えてもらいます。

このように目的が異なるため、これから解説するように具体的な手法も異なります。

コミュニケーション手法の違い

コーチングは、コーチがクライアントの中から答えを引き出す手法です。コーチは「クライアントの中に答えがある」ことを信じて対話を進めるため、主にオープンクエスチョンを使った質問を多用します。

オープンクエスチョンとは「Yes/No」で答えられない質問のことで、What(何が)、Who(誰が)、When(いつ)、Why(なぜ)、Where(どこで)、How(どうやって)などの質問が使われます。

コーチングでは答えは必ずクライアントの中にあると考えるため、コーチ側から知識や問題解決の手法を教えることは基本的にありません。

それに対して、ティーチングで使われる手法は「知識、ノウハウの提供」です。

そのため、関係性は「教える側」「教わる側」に分かれ、「教える側」から「教わる側」への知識の提供という一方的なコミュニケーションになります。

したがって、ティーチングの方法は双方向的な対話ではなく、

  • 研修、授業、講義
  • マニュアル
  • OJT

などの手法が使われます。

とは言え、どちらの方法が良いというわけではなく、関係性やシチュエーションによって適切に使い分けることが大事です。

コーチングとティーチングの使い分けについて、詳しくは2章で説明します。

コーチ・教える側の姿勢(マインド)の違い

コーチングはティーチングとは異なり、コーチ側が適切な姿勢(マインド)を持っている必要があります。

具体的には、コーチングには以下のような姿勢(マインド)があります。

  • クライアントを信じ切ること
  • クライアントの味方であること
  • コーチは「自己基盤」を確立していること

順番に解説します。

クライアントを信じ切ること

コーチングの場合、繰り返しになりますが「答えはクライアントの中にある」ということを信じてコミュニケーションを行わなければなりません。

なぜなら、「信じ切る」マインドがなければ、コーチングする中でついつい「〇〇という解決策はどう?」「〇〇をした方が良いよ」とアドバイスすることになってしまうからです。

このような質問をしてしまうと、クライアントが心の底で持っている思いや、本当に選びたい選択肢を潰してしまうことになりかねません。

そのため、コーチはクライアントの可能性を徹底的に信じて、クライアントから答えを引き出すことに徹する必要があるのです。

それに対して、ティーチングでは、必ずしも教える相手の中に答えがあることを信じる必要はありません。むしろ教える側が、相手は「答えを持っていない」と思っているからこそ知識やノウハウを提供する(ティーチング)という手段を採るのです。

とは言え、もちろんコーチングが良くてティーチングがダメというわけではありません。

クライアントの課題解決のためにコーチが知識を提供する必要があると感じた場合は、コーチングでも知識・ノウハウを提供する場合もあります。

ただし、その場合はコーチングセッションの最後に、セッションとは区別してお話したり、セッション中でも「提案しても良いですか?これはあくまで私の考えですが、、」と前置きした上で提案することが推奨されています。

クライアントの味方であること

コーチはクライアントの味方である必要があります。

味方であるというのは、自分の持つリソースを100%使ってセッションを行い、クライアントの目標の実現を全力でサポートするということです。

そのため、コーチは「こんなことを言ったら、クライアントを怒らせるかもしれない」「これは余計なことかもしれない」などと遠慮することなく、ほんの少しでもクライアントのためになる可能性があることなら、余すところなく伝える必要があるのです。

また、コーチになろうとする人をコーチングする機会もありますが、その場合は相手がいずれは同業者になる可能性があります。

そうなると、場合によっては「商売敵になるなら、全力でサポートしたくない」と思われるかもしれません。

しかし、それではコーチの態度としてはNGです。

クライアントが自分を超えていくようにコーチングしていくことがコーチの適切な態度であり、それがコーチングマインドなのです。

それに対して、ティーチングは「情報提供」ですので、クライアントの味方であるとか、クライアントの目標達成をサポートするという姿勢は、必ずしも必要ではありません。

情報を提供し「後は自分で頑張ってください」という態度をとることもできますし、そのような教え方をする人は多いのではないでしょうか。

コーチは「自己基盤」を確立していること

コーチングでは、コーチ側には「自己基盤」を確立することが求められます。

自己基盤とは人間力とも言い換えられますが、人としてどのような状況でも揺るがないベースとなる部分のことです。

抽象的な言葉なので具体的に説明すると、たとえばコーチングでは、

  • 言いにくいことでもクライアントのためには言うべき場面
  • 伝えることを遠慮したくなる場面
  • クライアントの反応で、コーチ側が傷ついてしまいそうな場面
  • 相手の言うことに同調したくなる場面(※)

などがあります。

※コーチングでは、基本的にはクライアントに同調するべきではないと考えます。

こうした場面で、自己基盤が確立されていないコーチの場合は、心が揺らいで適切なコミュニケーションが取れないことがあります。

しかし、それではクライアントのためになりません。そのため、コーチは常に自分の自己基盤を強くしていく必要があるのです。

では、自己基盤を強くするにはどうしたら良いのか?

そのためには、コーチはありのままの自分を肯定し、自分らしさを認めてあげることが大事です。

自分の存在そのものを心の底から肯定することで、揺るがない自己基盤が形成され、クライアントとのコミュニケーションでも揺らぐことなく、確固たる自分としてコミュニケーションできるようになるのです。

とは言え、私は自己基盤とは、コーチになってから身につけるものではなく、それまでの人生の中で築かれているものだと考えています。

そのため、むしろこれまでに築かれた自己基盤を自覚し、意識し、コーチになってからはその自己基盤をさらに強くしていくことを意識して生活していく。

そんなことが大事なのではないかと思っています。

自己基盤を確立することは、コーチだけでなくあらゆる指導者が求めるべきものだと思います。

しかし、ティーチングは「教える側」から「教わる側」への一方的な情報提供ですので、必ずしも自己基盤がなければ適切なコミュニケーションがとれないということはありません。

このように、コーチングとティーチングは「目的」「手法」「態度(マインド)」などの面において、大きな違いがあるのです。

また、コーチングの方が特にマインド面において、コーチ側に要求されるものが大きいこともお分かりになったと思います。

そのため、コーチングはしっかりその手法やマインドを学び、意識的に訓練する機会を持たなければなかなか実践できないものなのです。

それでは、次にコーチングとティーチングを使い分ける方法についてお伝えします。

コーチングとティーチングの違いを活かした使い分け

コーチングとティーティングは、活用するべき場面が以下のように異なります。コーチングとティーチングの違い1

 

 

 

 

それでは、それぞれのシチュエーションについて解説します。

熱意低、知識低

まず、熱意が低く知識も少ないという場合です。

コーチングとティーチングの違い2

たとえば上司と部下の関係の場合、部下がやる気を持っておらず、業務に必要な知識も不十分という状況です。

この場合は、コーチング、ティーチングが共に必要だと考えられます。

状況によっていろいろな使い方がありますが、私はまずはコーチングを使って、

  • 部下が何を目標としているのか
  • どうしたら成長したいと思うようになるのか
  • 何があればやる気を出せるのか
  • 今、やる気を阻んでいるものは何か

などを引き出し、信頼関係を構築し、それからティーチングによって最低限の知識、ノウハウを伝えていくでしょう。

なぜなら、まずやる気を出してもらわなければ知識を習得しようという気持ちにもならないだろうし、そもそも部下の目指すことや抱えている課題次第で、ティーチングするべき情報も異なるからです。

つまり、このような場合はコーチングによってやる気を引き出し、ティーチングによって知識を提供することで、部下が自主的に仕事に取り組むようにする、という活用方法ができるのです。

熱意高、知識低

次に、熱意はあるが知識が少ないという場合です。

コーチングとティーチングの違い3

あなたの周りにも、やる気に溢れているわりに仕事上必要な知識が不十分なため、イマイチ成果が出ていない人はいませんか?

このような場合に必要なのは、まずはティーチングです。やる気は持っているのですから、ティーチングによって必要な情報を提供することで大きく成長する可能性があります。

熱意低、知識高

熱意は低いが知識は持っているという場合、これはコーチングを最も活用するべき場面です。

コーチングとティーチングの違い4

知識を持っているということは成果が出せるはずなのに、それが行動に反映されていないということは、本人が何らかの課題を抱えている可能性があります。

たとえば、

  • 本人が持っている目標と、仕事上必要とされることが異なるためにやる気が下がっている
  • 仕事は好きだが、人間関係や給与、人事評価の仕組み等、仕事内容以外の所に不満がある

などの状況が考えられます。

このような課題を抱えている場合は、コーチングを活用することで不満や障害を乗り越えて、大きな成長ができる可能性があります。

そのため、まずはコーチングで、

  • 行動を阻んでいるものは何か
  • 何があったらもっと行動に移せるか
  • 本当は何がやりたいのか?(理想の姿)
  • 今の仕事を通じて、理想の自分に近づくにはどうしたら良いか?

などを本人から引き出し、やる気を持たせることが大事です。

このような「やるべきことは分かっているのに、行動できない(もしくは行動の質が低い)」という場合が、コーチングがもっとも活用されるべきシチュエーションなのです。

熱意高、知識高

最後に、熱意が高く知識も十分持っているという場合です。

コーチングとティーチングの違い5

この場合は、基本的にはコーチングもティーチングも必要ありません。

熱意も知識も持っていれば、自立的に行動して自ら成果を上げていくことができるからです。

しかし、そんな人でも何らかの事情で熱意が下がってしまう可能性もありますので、あなたが上司なら定期的にコーチング的な関わり方をして、その部下がもっと成長できるように調整・サポートしてくことも大事です。

まとめ

コーチングとティーチングの違いについてお分かりになりましたか?

最後に、簡単に今回の内容をまとめます。

  • 目的の違い
    →コーチングはクライアントから答えを引き出す。ティーチングは教える側が答えを提供する
  • 手法の違い
    →コーチングは双方向的な対話。ティーチングは講義、研修、OJTなど。
  • マインドの違い
    →コーチングは、コーチとしてのマインドが求められるが、ティーチングはマインドがなくてもできる。
  • コーチングとティーチングの使い分け
    →熱意が低い場合はコーチング、知識が少ない場合はティーチングを使い分ける。

今回お伝えしたことは、あくまで原則的なことですので実際には使われるシチュエーションによって様々な使い方があります。

これからコーチングを活用したいという場合は、まずは原則を理解した上で、実践しながら工夫してみてくださいね。

ABOUT ME
FT
福岡出身。学問と古武道。