私は、体の不調をお持ちの方、過緊張(体を固める癖、首や肩、背中を中心としたコリ・緊張・痛み)を持つ方に向けて、施術やトレーニングを行っています。
最近の私のやり方としては、ただ一方的に施術やトレーニングを提供するのではなくお客様自身が「自分の力で自分を整えていける」ようにサポートすることです。そのため、私は「自然体の学校」という名称で「自分の体や、その整え方を学ぶ場所」という考えで施術やトレーニングを行っています。
お客様自身が、楽な体(自然体)へと体を整え、伸ばしていくためには、そのために何をすべきかある程度知っておくことが大事になります。
そこでこの記事では、楽な体をつくるために私が重視している4つの要素と、その土台となる自律神経のバランスについて解説します。私が行っている施術もトレーニングも、この内容をベースにして行っているものです。
「楽な体」をつくる概要
私が施術・トレーニングを通じて行っている「楽な体」をつくるためのメソッドは、大きく下記のような内容になっています。
土台に自律神経のバランスがあり、その上で上記の4つの要素をそれぞれ整え、鍛えていくことが大事なのです。
「楽な体」の土台としての自律神経
簡単にいうと「内面を整える」
まず土台としての自律神経ですが、これは「楽な体」をつくるために必須のものです。
自律神経とは、体の内面の働きを自動で調整している神経系のことで、この自律神経の働きはストレス、疲れ、病気、怪我、運動不足、睡眠不足、加齢などさまざまな要因によって乱れます。
自律神経の働きはいわば生命力の根本であり、これが乱れた状態では何をやっても健康になりません。
これは「背骨の硬直」「背中の張り」「姿勢の歪み」「首や肩、背中・腰の過緊張」「呼吸のしにくさ」といった形であらわれます。またこのような背骨・体幹の固さは全身の姿勢や動きに影響を及ぼすため、全身の筋肉や関節の痛み、怪我、神経系のしびれなどにもつながります。
したがって、まずは体の内面から整え、背骨・体幹のしなやかさのベースをつくることが必要です。
私のメソッドの中では、過緊張や体の不調でお悩みの方には、まず整体施術やセルフケアを通じて、自律神経を整えます(もちろん生活習慣が乱れている方は生活を整えることも大事です)。
骨格コントロール(体幹のエクササイズ)で「楽な体」をつくる
上記の施術の後に(もしくは並行して)骨格コントロールのトレーニングによって、体を自分でケアする方法を学んでいただきます。
骨格コントロールとは、簡単にいえば体幹を使ったエクササイズです。ただしヨガ、ピラティス、ストレッチといった一般的なエクササイズとは目的や効果がまったく異なります。
たとえば下記のようなものですが、この体操は私の【骨格コントロール(基礎)】の内容になります。まずはこのような簡単な体操を通じて、これから紹介する4つの内容を身につけていきます。
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「楽な体」をつくる①ボディマップの精密化(体を感じる)
簡単にいうと「体を感じる」
緊張や不調のない「楽な体」をつくるには、ボディマップを精緻化していくことが大事です。
ボディマップとは、専門的にはボディスキーマ(身体図式)といわれるもので、簡単にいえば脳が「ここまでが自分の体」とマッピングしている働きのことです。
運動不足や偏った姿勢、動きの生活が続くとボディマップが粗くなり、いわば脳にとっての体の解像度が低い(粗い)状態になります。この状態では、運動をしても体が適切に使えず、怪我をしたり、よけいに緊張や癖を強めることになりやすいです。
そのため、体を丁寧に感じながらゆっくり動かす体操を行い、このボディマップを正確に、精密にしていきます。
「楽な体」をつくる②軸の活用
簡単にいうと「地面とつながる」
「楽な体」とは、軸が通り地面としっかりつながった状態です。
そもそも人間の体には常に重力が働き、地面からは反発力(地面反力)を受け取っています。つまり、常に「浮く方向の力」も受けているため、この力をうまく使うと「軸」ができ、姿勢や動きを楽にできます。その結果、緊張を解消していつもリラックスできるようになります。
また、ただ足裏で地面を感じるだけではなく、地面から受け取る力が体のすみずみまで届いていることも大事です。これはリラックスと表裏一体であり、うまく力みを抜くことで地面を感じられるようになり、また地面を感じることでリラックスできるようになります。
これも、実際にはシンプルな体操を通じて身につけていく感覚です。
「楽な体」をつくる③体のモノサシの精密化
簡単にいうと「まわりを感じる」
「楽な体」をつくるには、体のモノサシを精密にすることも大事です。これは①の感覚とはまた少し違い、周囲から適切に情報を受け取る力です。
私たちは、視覚、聴覚などの五感覚や、それらが組み合わさっての空間認識能力を持っており、その感覚で周囲の状況を読み取っています。そのため、この感覚の働きが衰えると「ストレスを受け取りすぎる」「体をぶつける、転ぶ」といったことにつながります。
これも、まずは体を丁寧に感じながら「考えたとおりに体を動かす」ことを通じてトレーニングします。
「楽な体」をつくる④緊張・リラックスのコントロール
簡単にいうと「力みとリラックスを感じる」
体の不調や緊張が強いタイプの方は、体の緊張とリラックス(弛緩)のコントロールが苦手になっています。これを専門的には筋感覚といいます。
この感覚の働きが衰えると「ずっと体を力ませ、過剰に緊張させて姿勢を維持する」ことが癖になり、それが当たり前になってしまいます。
このようなタイプの方は、自分の体が力んでいるのかどうか、どのくらい力んでいるのかがよく分からなくなっています。これも感覚の一種の濃淡であり、この感覚を鍛えると自分で緊張やリラックスをコントロールできるようになります。
そのため、これも丁寧に体を動かすことを通じて感覚を育て、リラックスを覚えていくことが大事です。
ここまで紹介してきた4つの重要な要素は、すべて同じ【骨格コントロール】のワークの中で鍛え、伸ばしていくことができます。
丁寧にシンプルな体操をやることを通じて「体を感じる」「軸をつくる」「まわりを感じる」「リラックスする」の4つを伸ばしていくことが大事なのです。
「楽な体」をつくる流れ
ここまで説明したことを実際に行って「楽な体」をつくっていくには、下記のようなプロセスを経ることになります。
①自律神経のバランスの安定:生活習慣、整体施術、トレーニング
②骨格コントロール(初級・基礎)による4つの要素の向上:シンプルな動きでのトレーニング(単一コントロール)
③骨格コントロール(中級・応用)による4つの要素の向上:少し複雑な動きでのトレーニング(複合コントロール)
④骨格コントロール(上級・発展)による4つの要素の向上:コントロールの発展
少し難しく見えるかもしれませんが、簡単にえば施術で体を内面から整え、トレーニングやセルフケアで姿勢や体のコントロール力を高めること、そしてそれを少しずつレベルアップさせることになります。
このステップを経ることで、
◎姿勢の改善(省力姿勢)
◎動きの改善(精密体幹)
◎心身が全体的に整い、生命力が向上(自然体の実現)
を目指す内容になっています。
「ただ何となく一般的なエクササイズをやるだけ」「ネットで見かけた動画のトレーニングをやるだけ」といったやり方では、体の癖や緊張を強め、よりよい体にはならないことが多いです。
ここで紹介したような要素を組み込んで、ゆっくり丁寧に体を感じながら動かし、感覚から回復していくことが重要なのです。