「疲れない座り方を知りたい」
「腰痛や肩こりにならない座り方ってどんなもの?」
などの悩みをお持ちの方は少なくないと思います。
結論を言えば、疲れない、不調にならないための正しい座り方とは、背骨を真っすぐに伸ばす力と、お腹の奥を使う力を使って座るものです。
この記事では、
- 正しい座り方のポイント
- 疲れる座り方とはどういうものか
- 正しい座り方ができるようになるためのトレーニング
などについて詳しく解説しています。
この記事を参考に、疲れない、不調にならない座り方を身に付けていきましょう。
1章:正しい座り方とは
さっそく正しい座り方のポイントを紹介します。なお、ここでの正しい座り方とは、長時間同じ姿勢でも疲れにくい姿勢のことです。
具体的な座り方については後ほど説明しますので、まずはポイントを紹介します。これを読むだけでも、ある程度いい姿勢を取れるようになるはずです。
①背骨が自然なS字を描いていること
もっとも大事なポイントは、背骨が自然なS字を描けていることです。そもそも、背骨は身体を支える大事な柱の役割を果たすものですが、横から見たときに自然なS字を描いている場合に、もっとも余計な力を使わずに身体を支えることができます。
このS字が崩れて、
- 猫背になっている
- 首が前に落ちている
- 胸を張りすぎている
- 腰を反っている
- 骨盤が真っすぐ立っていない
といった場合、余計な筋力を使わなければならず、疲れや不調の原因になります。
②お尻の真上に頭があり、前後左右の偏りがないこと
お尻の真上に頭が乗っているような形にするのが、正しい、疲れにくい座り方です。
頭が前に落ちたり、後に行きすぎたりすると、その傾きを筋力で支えなければならなくなります。お尻の真上の頭があれば、偏りがないため背骨の力で頭を支えるだけで済みます。
イメージとしては、細い棒が何の支えもなしに立っているような状態です。
前後左右に偏りがあると、バランスを崩さないように何らかのサポートが必要になりますが、真っすぐ立っていればバランスが取れるため、サポート(筋力)が最小限で済みます。
③お腹の力で体を支えていること
正しい座り方のポイントとして、身体が真っすぐに立っていることが大事だとお伝えしましたが、それでもまったく筋力が必要ないわけではありません。
最小限の筋力は必要です。そして、主に使う筋肉はお腹の奥の筋肉であることが理想です。
いわゆる「いい姿勢」をしようとすると、多くの人が腰を反り、胸を張り、背中側を緊張させすぎてしまいます。この姿勢では、長時間キープしていると背中側が疲れてしまいます。
疲れないためには、背中側とお腹側の筋肉のバランスが取れていることが大事です。そのため、お腹側に自然に力が入り、腰や胸の反りがなくなり、自然なS字を維持できることが大事なポイントです。
詳しくは2章で説明します。
④力みなく、リラックスしていられること
ここまでの正しい座り方のポイントが押さえられていれば、余計な力みなくリラックスして座れるはずです。
正しい座り方の形がしっかり取れたら、その姿勢を最小限の筋力で維持できるように、息を吐きながら力を抜いて行ってみましょう。
リラックスするほど、長い時間疲れずに座っていられるようになるはずです。
ここまで、疲れないための正しい座り方のポイントを説明しましたので、次にもう少し詳しく座り方を説明します。
2章:正しい座り方の詳しい解説
それではこれから、疲れないための正しい座り方のポイントを詳しく説明していきます。
①椅子の高さ
椅子の高さは、足の裏がしっかり地面につく高さが理想です。
足を地面につけることで、体重を分散して支えられるためです。
②座る位置
椅子に座る位置は浅めがいいです。
浅めに座るのは、座骨でしっかり体重を支えるためでもあります。座骨とは、硬い椅子に座った時に、椅子にゴリゴリとあたる2つの骨のことです。股関節の裏当たりに感じると思います。
この2つの骨が、座る時に体重を支えてくれるのですが、この2つの骨で支える感覚が弱いと、他の部分に力みが生まれ、余計な緊張から疲れやすくなります。
そのため、浅めに座って座骨を感じやすくすることが大事です。
③背骨を伸ばし、自然なS字を描けるようにする
このように座ったら、まずは頭を上に押しあげるようにして背骨を伸ばしましょう。
この時大事なのが、真上に向かって頭を押し上げるようにすることです。背骨を真っすぐ伸ばすことが大事ですので、腰が反ったり、胸を張ったりしないようにしてください。
下記の図のように、背骨は腰の部分が軽く反り、胸の部分は軽く丸まり、首は軽く反るのが正しい形です。
この反りや丸まりが強くなりすぎたり、丸まるべき胸が反ったりすると余計な力みが生まれますので注意してください。
特に、腰が反りやすい場合は、少し丸めるくらいの意識を持った方がいいです。
背骨を伸ばし、正しいS字が描けると、お腹に軽く力が入るはずです。これが正しい座り方で重要なポイントです。
④アゴは軽く引く
疲れないための正しい座り方をするためには、アゴは軽く引いておくことが大事です。
現代では、スマホ、パソコンなどを日常的に使っているために、アゴが前に出て頭全体が前に出てしまっている人が少なくありません。
このような姿勢を続けるとストレートネックになり、肩こり、首こりが慢性化します。そのため、アゴは軽く引いて、頭をお尻の真上に「置く」ようにしておくことが大事です。
⑤腕の位置、角度
パソコン作業などを日常的に行う場合、腕の位置や角度も大事です。
具体的には、肩甲骨を前に出さず、脇を締めて、肘が身体から離れすぎないようにしておくことが大事です。
逆に、
- 肩甲骨が前に出る
- 脇が開いて、肘が下ではなく斜め横を向く
- 肘が身体から離れて、肘が伸びる
という姿勢をすると巻き肩になったり、脇や肩を常時緊張させることになり、慢性的な肩こりになりやすいです。
これらの姿勢に注意して座れば、疲れにくく、不調を予防できるようになります。
正しい座り方は、最初は意識しないと難しいかもしれませんが、徐々に慣れて無意識にできるようになるはずです。
慣れれば、こちらの方が快適に感じられるようになります。
3章:正しい座り方が疲れる場合に知っておくべきこと
ここまで正しい座り方について説明しましたが、このような座り方で疲れてしまう場合もあるでしょう。
その場合は、下記のようなことを知っておくことが大事です。
- 姿勢が間違っている可能性
- ある程度の慣れ、筋力も必要
- 正しい姿勢は「正しく疲れる」
簡単に説明します。
3-1:姿勢が間違っている可能性
「正しい座り方をしているつもりなのに、疲れてしまう」という場合は、正しい姿勢のつもりでも姿勢が間違っている可能性があります。
もう一度1章で紹介した内容を再検討してみてください。
また、正しい座り方で特に大事なのは、背骨を正しく伸ばすことです。
詳しくは以下の記事で解説してますので、こちらも参考にしてみてください。
背骨を伸ばして正しい姿勢をつくるメリットと5つのトレーニング法
3-2:ある程度の慣れ、筋力も必要
正しい姿勢で疲れてしまうという場合、まだこの姿勢に慣れていないだけである場合もあります。
1章、2章で説明したように、正しい座り方をするとしても、ある程度は筋肉を使います。そのため、正しい座り方では「正しく疲れる」と言った方がいいかもしれません。
正しく疲れるとは、
- 全身がまんべんなく疲れる
- お腹の奥の筋肉が疲れる
- こりとして残らない
というような疲れ方です。
このようになるには、ある程度正しい座り方に慣れて、必要な部位に筋肉がつくことが必要です。
そのため、最初は疲れたりしても、少しずつ慣れていけば問題ありません。
4章:正しい座り方をするメリット
正しい座り方の方法から説明してきましたが、このように詳しく説明したのは、正しい座り方をするメリットには下記のように多くのものがあるためです。
- 肩こり、腰痛などの不調の解消
- 呼吸が深くなる
- 疲れにくくなる
- 見た目が良くなる
- シェイプアップ効果
順番に説明します。
4-1:肩こり、腰痛などの不調の解消
ここまで説明したように、正しい座り方をすれば肩こり、腰痛などの不調が解消できます。
現代人は座っている時間が長すぎるため、その座っている姿勢がよくなれば、身体に多くの好影響があるのです。
4-2:呼吸が深くなる
正しい座り方ができると、呼吸が深くなりリラックスしやすくなるメリットもあります。
そもそも、座り方が悪いと余計な緊張が生まれ身体が硬くなり、深い呼吸がしづらくなります。深い呼吸ができないと、さらに身体が緊張したり、息苦しさ、頭痛、疲れやすさなどにも繋がります。
正しい座り方では、使う筋力が最小限で済むため、リラックスしやすく深い呼吸ができるようになるのです。
4-3:疲れにくくなる
正しい座り方ができると、疲れにくくなるメリットもあります。
ここまで説明してきたように、正しい姿勢では特定の筋肉だけを過度に緊張させることがないため、疲れにくいのです。また、呼吸が深くなることでも疲労感が少なくなります。
4-4:心が落ち着く
正しい座り方ができると、心が落ち着くメリットもあります。
正しい座り方では、重心が真下に落ちて身体の真ん中に真っすぐの軸を感じることができると思います。
このように身体に安定感が出ると、精神的にも落ち着くのです。
4-5:シェイプアップ効果
正しい座り方では、背中だけでなくお腹の筋肉も適度に使います。
そのため、これまでお腹を緩めて背中や肩の力で頑張って座っていたという人の場合は、お腹を使えるようになることでシェイプアップ効果があります。
関連
ここまで正しい座り方について説明してきましたが、正しい座り方をするのが難しいという方に向けて、下記の記事で簡単なトレーニングを紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
背骨を伸ばして正しい姿勢をつくるメリットと5つのトレーニング法
また、正しい座り方で座ることも大事ですが、そもそも「座り続けない」ということも大事です。人間の身体は、いろいろと動き回っていた方が健康が保てるようになっているからです。
詳しくは以下の記事で解説しています。