認められたい

『恥(シェイム)生きづらさの根っこにあるもの』の要約・感想

2021年7月27日

『シェイム』の要約・感想

『恥(シェイム)』(アスク・ヒューマン・ケア)という本を読んだ。

この本は、「恥」という感情は一体何なのか、どう付き合っていけば良いのか、ということを非常に分かりやすく解説した本。

「恥」という感情は、その人の人生を生きづらいものにしてしまう。特に、日本は文化的に恥の感情が強いと言われる。そのため、日本に暮らす私たちは、この恥という感情にどう対処していくか、この本から学ぶことは大事なことだと思う。

1章:『シェイム』の要約

1-1:恥とは

そもそも、恥という感情は、

「自己イメージを守るための、そして仲間の輪に属するための、警告の感情」

である。

この「恥」は、集団への帰属意識から生まれるもの。その集団で異端を排除する力が強いほど強まる。

この「恥」の社会的な規範があることで、集団を維持しやすかったり、ある人間が都合よく動くことができるようになる。力を持つ者が、自分の希望を叶えるために、他者に恥を当たえることもできる(シェイミング)。

また、恥は、他者との関係性の中で起きる自意識感情である。そして、恥は理屈、文化などと関係がない身体感覚であり、強烈な感情である。そのため、外から植え付けられた恥は、その人の思考や行動を強く縛り、様々な問題を引き起こす。

1-2:恥の問題

「恥」が引き起こす問題は、自分の本当の感情を感じられないということである。

まず、感情は押さえるのではなく、その感情のニーズに上手に応えることが大事である。たとえば、悲しい時に悲しい気持ちを抑えず、悲しむことが癒しになる。これを「感情調整」と言う。

このように、感情を読み取る力は、子が成長する過程で身につくものである。親が子どもの感情を読み取り、それをコミュニケーションしながら伝えることで、子は自分の感情をくみ取れるようになる。これを「情動調律」と言う。そのため、親がうまく機能しないと、子は自分の感情をうまくくみ取れず、それが生きづらさに繋がる。

特に、親が子を虐待していた場合など、子は「中核的な恥」を持ってしまう。

「子ども時代の虐待、自分を守ってくれるはずの相手から繰り返し否定されたり拒絶される体験、大切に扱ってもらえなかったり世話してもらえない体験は、中核的な恥を植え付けます。」

中核的な恥があると、子はちょっとしたことで恥に圧倒されてしまう。

また、恥を理由に叱られ続けると、自分の気持ちを整理する機会がないまま大人になってしまい、子は自分の感情をくみ取れなくなる。

1-3:恥による生きづらさ

親が子を認めないと、子は「私っていいよね」という感情を持てなくなる。これは恥を植え付けられるということである。

恥を持つ人は、どれだけ行動しても、どこまでいっても満足できずに、疲れ切ってしまう。こうした行動を繰り返すうちに、生きづらさを感じてしまう。

また、恥は「退却感情」である。退却感情とは、その関係から逃げようとする感情である。

そのため、恥を感じるとその関係性に対処するのではなく、その関係性から逃げようとし、その人にとっては失敗、挫折となることも多い。

さらに、恥を感じるのは痛みを伴うため、恥を感じたことを自分で隠してしまう。そのため、怒りや攻撃として表出してしまう。恥を感じたときにやってしまう行動としては、下記のようなことがある。

  • スイッチオフ
  • 閉じこもる
  • 自己抑制
  • 過度の頑張り
  • 自分を大きく見せる、名誉を求める

このように、強い恥の感情を持つことは、その人にとって様々な生きづらさを引き起こしてしまう。したがって、下記のような対処法を実践することが大事である。

  1. そこにいるね(恥を認めること)
  2. 自分を応援する
  3. 私のじゃない(スティグマを知る)
  4. 支えてくれる(仲間の肯定)
  5. ごめんね(自分にやさしくする)
  6. 今ここ(今感じていることに集中する)
  7. 人って色々(多様である、ちがう)

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2章:『シェイム』の感想

この記事では、簡単に『シェイム』に書かれていたことを一部紹介しました。詳しくはぜひこの本を読んでみてください。まったく前提知識がなくても、読めるように書かれてる分かりやすい本です。

現代日本人にとって、「恥」への適切な対処法を知っておくことは、非常に重要なことだと思いました。

「恥」が強いと、

  • 自分の本当の気持ちが分からなくなる
  • 「私っていいよね」という感情が持てず、頑張りすぎて疲れてしまう
  • 強い恥を感じると、その場から逃げたり怒りや攻撃に繋がる

といったことがあるからです。

私の経験上「恥」は、自分のダメなところを気づかせ、努力しようという気持ちを起こさせるという面ではいい面もあるとは思います。しかし、やはり恥が強すぎると前向きな行動よりも、自分の弱さを隠したり、取り繕う方向の行動にも繋がります。そのため、恥を感じるのは仕方ないとしても、それを前向きな行動に繋げるための対処法を知っておくことが大事だと思います。

その具体的な方法は、この本の中で書かれています。

その中でも特に大事だと思ったのは、まず「そこにいるね=恥を認める」ことです。恥を感じてもそこから逃げず、「ああ今自分は恥を感じているのだな」と客観視することで、いくらか気持ちがやわらぎ、前向きに行動できるからです。

また、「今ここ」も大事だと思います。「恥」は、「他者からどう見られるだろう?ジャッジされるだろう?」という思いがそのベースにあるように思いますが、そればかり考えると「目の前のやるべきこと」に集中できなくなります。集中できないために、失敗してさらなる恥を生む可能性もあります。

そのため、「今ここ」に集中することも大事なのです。

詳しくは、ぜひこの本から学んでください。

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