社会が抱える問題

デジタル化が進む社会だからこそ、カラダの存在感を取り戻すことが必要(2)

デジタル化が進む社会での体の存在感

前回の記事では、現代を生きる多くの方がアタマの使い過ぎで病んだり、体の不調を持っていること、そしてその背景には社会の変化があることを書きました。

このような時代の変化があるために、現代人は生活の中での体の使い方を工夫することが大事で、体の存在感を取り戻していくことで「アタマの働きすぎ」による不安や不調からも脱していくことができる、というのが私の考えです。

一方、近年はフィットネスブームで体を鍛える人が増えているのではないか?と思われている方もいると思います。確かにフィットネスブームで筋トレやダイエットをしたり運動や食事に気を使う人は増えているかもしれません。

しかし、近年の流行による筋トレ、ダイエットなどでは満たせない部分があると思います。

1章:「カラダの存在感を取り戻す」とはどういうことか

そもそも、私が考える「体と向き合う」というのは、自分の動きや感覚ととことん向き合うことで、アタマ(観念)や外の世界(外界)に向けられすぎている意識を自分の体の中に引き戻すことです。

体の意識が強くなると、自分がここに在るという体の存在感が強くなり、

  • アタマの働きすぎによる不安や妄想で自分が振り回されることがない
  • 外の世界に情報があふれていても、自分に集中することで翻弄されない
  • ストレスを受けても動揺しにくい

といった「自分」になっていくことができます。

昔の人は、このような状態を「地に足がついている」という身体感覚を伴う言葉で表現したのだと思います。

私の感覚では、自分の体の動きや感覚がしっかり意識できており、アタマ(観念)や外界に対する意識と、体そのものに対する意識とのバランスが取れていると、精神的にも安定します。

また、よりよい姿勢、よりよい動きをしようと体の感覚を研ぎ澄ましているのですから、もちろん体の状態もよくなっていきます。

その結果、心身が健康になっていくということです。

このような体の状態は、情報があふれる現代社会において、アタマの使い過ぎで精神的にも不調になりがちな現代人に、必ず必要なものだと考えています。

もちろんメンタルからのアプローチも有効かもしれません。しかし、体が不調なままでは精神的にもなかなか明るくいられないものです。また、アタマの働きすぎに対して「アタマの働きを変えよう」というアプローチでは、円滑に解決されない場合もあると思います。

そのため、体に対するアプローチがとても大事なのです。

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2章:フィットネスブームでは体の評価軸が外から与えられる

ただし、冒頭でも書いたように、私が考える「体に対するアプローチ」は、近年のフィットネスブームとは異なるものです。

なぜなら、端的にいえば、近年のフィットネスブームでは、体の評価が他者の評価軸によって決められてしまっているからです。

私の考える体へのアプローチでは、とことん主観に頼った評価を行うべきだと考えています。体を感覚するという主観的な行為自体をとことん行うことで、意識を体にもしっかり振り分けること、それによって体の存在感を濃くしていくことが大事だと考えており、そのためには主観が何より大事なのです。

一方、近年のフィットネスブームでは、よいとされる体型がある程度決まってしまっています。つまり、社会的に「よい」という体型がイメージとして共有されており、フィットネスによってそのような体に近づくことが「よい」という評価軸ができてしまっています。

この点については、ジムやダイエット食品の広告において、どのようなモデルが理想像として示されているか、見ればわかると思います。

その「よい」とされる体に近づくために行われるトレーニングやダイエットでは、体型や姿勢といった外見的な要素に意識が向きがちです。筋トレのフォームなども意識されるでしょうが、このような行為での体の働きは、非常に限られたものになると思います。

人間の体は、もっと豊かな働きを持つものであり、それは現在の多く見られるトレーニングのプログラムや、そのコンセプトからは提供されにくいものだと考えています。

とはいえ、私はフィットネス自体を否定するわけではありません。運動不足の人が非常に多い社会において、手軽に運動できる機会が提供されるようになり、健康を大事にする人が増えること自体はもちろんいいことです。筋トレやダイエット自体は、現代人には必要なことです。

しかし、より大きな視点でとらえたときに、現在のフィットネスのあり方だけでは足りない部分があるということです。

3章:「カラダの存在感を取り戻す」ために何をすべきか

ここまで抽象的な説明ばかりになってしまいました。

「では、体の存在感を取り戻すためには、何をしたらいいのか」というのが疑問だと思います。

私は、以下のようなアプローチをするべきだと考えています。

  • 体の細かな動きや内面の動き、感覚の働きにとことん意識を向けること
  • 体を多様に使う動きをすること
  • 全体的に体を使うこと、大きく使うこと
  • 生物の進化の歴史や、人間の発達の過程、それぞれにおける「動き」の発展の過程を踏まえた内容のもの
  • さまざまな道具を使うこと
  • 1人で行うものだけでなく、2人、3人など対人的な動きを伴うもの

これらをすべて満たすプログラムをつくるのは大変で、ボリュームのありすぎるものになりそうです。

しかし、その一部については、当院のパーソナルトレーニングや今後行う予定の運動・武術クラスにて行っていく考えです。

これからの時代は、デジタル化がさらに進んでアタマを使う時間が日常生活の中でさらに増えていくのではないかと思います。そのような時代の流れに対して、必ずアタマに対する「カラダ志向」のような揺り戻しがくると思います。

そのときに多くの人に確かなアプローチが提供できるように、今のうちから試みを開始していきたい、というのが私の思いです。

ご興味のある方は、LINEなどからご連絡ください。

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