最近「HSP(Highly Sensitive Person)」について認知が広がっているようです。
かく言う私も、1年ほど前にHSPという概念を知り「自分もそうなのでは」と思った一人です。
しかし、いろいろ調べてみるとHSPとはあまり学術的な概念ではないようで、HSP的な特性を持つ人も、実際には生まれ持っての気質ではなく、他の原因からHSP的な特性が出てしまっている可能性もあるようです。
HPSについて私が調べて分かったこと、実体験、おすすめの本などを紹介します。
HSPとは
そもそもHSP(Highly Sensitive Person)とは「敏感すぎる人」という意味です。ユング系の心理療法かであるエレイン・N・アーロンという方が提唱した言葉で、最近は一般的にも認知度が上がっているようです。
ネット上でHSPについて書かれた記事やブログ、SNSのプロフィールに記載している人も増えている印象があります。
HSPについて簡単に説明すると、感覚が敏感すぎて周囲の環境の変化に影響されやすかったり、外界からのストレスを受けやすい特性を持つ人のことで、5人に1人がHSPだと言われています。
実際、HSPという言葉が認知されるにつれて「自分もそうかも」と思う人がたくさん増えてきているようです。
自分がHSPである可能性
私もHSPという概念を知って、調べてみたところ、以下のような特性から「おそらく自分はHSPだろう」と確信しました。
- 子供のころから人混みが苦手で、街中やショッピングモールなどに行くと、人一倍疲れていた。そのため、静かな家や自然の中にいることを好んだ。
- 食べ物の好き嫌いが多く、嫌いなものは吐き出してしまう程まずいと感じていた。また、刺激や癖が強い味が今でも苦手。
- まぶしさや音のうるささに敏感。特定の音(ある金属音)については耐えられないほど苦手。
- 服の肌触りに敏感で特定の肌触りの服や靴下を、ダメになるまで繰り返し着続ける。
こういった事は子供のころに特にひどく、親からは体力がない、わがままだとよく叱られていました。自分でも、みんなができること、我慢していることを自分はできていないのだと思っていました。
また、20代後半になった現在でも人混みから受けるストレスは大きく、嫌いな音は相変わらず嫌いです。つまり、今でもこれらの特性は多少弱くなった部分もあるものの、基本的には変わっていません。
今でも家の外を大きな音を立てた車が走る時は、音の大きさに圧倒されてしまいますし、外に出て電車に乗り、数時間も買い物をすることはかなり疲れることです。
これらの特徴は、HSP関連の書籍を読んでどの本にも書いてあることだったので、自分はHSPというタイプなのだな、人よりも外界からのストレスを受けやすいのだな、と気付きました。
ある程度の年齢になるまでは、みんなそうなのだろうと思っていたのですが、どうやらそうではない、自分はかなり環境から受けるストレスが大きいようだと、20代くらいからようやく気付くようになっていました。
そのような漠然とした「人と違うかもしれない」という実感が、書籍を読むことでわかり、自分の特性として受け入れられるようになりました。
しかし、もっと調べてみると、HSPという概念で「敏感すぎる」という特徴だけをひとくくりにし、それを生まれもった特性だと考えることには問題があることも分かりました。
HSPという概念の問題点
実はこのHSPという概念は学術的な概念にはなりきれていないようです。
HSPという概念の問題点については『過敏で傷つきやすい人たちーHSPの真実と克服への道』(幻冬舎新書)で知りました。
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この本によると、HSPという概念は「敏感すぎる」という特徴から一般化しているだけなのが問題だということでした。
たとえば「熱病」というのは現象であって、その原因にはいろいろなものがありますね。
HSPも同じことで「敏感すぎる」というのも、生まれついての特徴であることもあれば、育った環境に原因があった後天的な特徴であることもあるので「敏感すぎる」という特徴で一括りにするだけでは、十分ではないとのことでした。
そこでこの本では「感覚プロファイル」という方法を使って、感覚の敏感さについていろいろな角度から診断し、分析することで、自分のHSP的な特性が、どのような原因から来るものなのか、どのような対策が考えられるのか、詳しく方法が紹介されています。
専門的な内容になるため詳しくは立ち入りませんが、おそらく感覚の敏感さで悩んでいるすべての人が知りたいことが書かれていますので、ぜひ読んでみることをおすすめします!
HSPの強み
私は自分がHSP的な特性を持っているのだと思ってから、自分の強みもこの特性から生まれているのではないかと思うようになりました。
それは、以下のようなものです。
- 周囲の環境変化に敏感に気付くため、細かい気遣いができる
- 自分の身体の変化にも気付きやすいため、細かな動きの変化が要求される剣術の上達に役立っている
- 人の感情の動きや悩んでいる時などを察知できることが多い
この強みは、もしかしたらHSPと関係がないものかもしれませんが、私はやはり敏感さが役に立っているように思えてなりません。
いろいろと調べてみると、HSP的な特性を持っている人は、いろんな分野で活躍している人にも多いのではないかと思うようになりました。
何らかの分野で第一線で活躍している人の中には、自分の感覚の敏感さを打ち明ける人が少なくないようなのです。
たとえば、武術家で言えば、甲野善紀先生という著名な方がいらっしゃいます。以前甲野先生の書籍を読んだ時に「ボタンがある服が一切着られない」と書かれていました。
これは、特定の肌触りや見た目に強いこだわりを持つ感覚過敏の一種なのではないか、、と思ってしまいます。
そんな甲野先生は、既存の武術の継承ではなく、自身の身体でより高度な動きを見つけ、古の技を蘇らせようとしている武術家です。
そのような独自のスタイルで著名になれたのは、やはり人一倍敏感な感覚を持っていたからなのではないか、と私は思います。
つまり、HSP的な特性を持つ方は、自分の敏感な感覚を武器にすることができれば、とても大きな強みになるのではないかと思うのです。
私は周囲から受けるストレスも大きいですが、自分が生まれ持ったこの感覚を活かして、積極的に自分の人生を切り開いていきたいと思っています。
もしあなたもHSP的な特性で悩んでいるなら、もっと詳しく自分の特性を分析し、対処し、強みに変えていく方法を考えてみてはいかがでしょうか。