練習・トレーニング

「基本を大事にするタイプ」がスキルを身につける時に気をつけるべきこと

2018年10月8日

基本を大事にすることも悪い面

あなたは、何か新しい技術・技能を覚える時に、すぐに自分なりに応用していくタイプでしょうか?それとも基本を大事にして地道に学んでいくタイプでしょうか?

私は、少なくとも武道においては後者のタイプです。

この自分の特性がこれまでは良い面で活用できていましたが、もっと成長するために、これからは変えていかなければならない部分もあると感じています。

地道にやっていくタイプだと、基本が身につく反面、技術・技能を身につける目的を見失いがちになるからです。

空手・剣術修業を通して分かった自分の特性

私が、地道にやっていくタイプであること、そしてその性格では目的を見失いがちになることに気付いたのは、何年もの武道の修業を通してのことでした。

私が二天一流剣術をはじめて丸8年以上が経ちました。最初の2〜3年で技の体系は一通り終わり、その後はひたすら覚えた技を磨く期間でした。

この8年間、そしてその前にやっていた空手と合わせて十数年の武道の稽古を通して、武道の稽古における自分の強みと弱みが同じ所にあることを感じたのです。

それが「技を正確に行うことに集中しすぎる」ということです。

私は空手をやっていた頃も、剣術をはじめてからも、技を正確に身につけていることを褒められることがよくありました。それは古流の武道ではとても大事なことですから、私も褒められたことで満足し、よりいっそう正確な技を身につけることに努めてきました。

後に武道の理論を学んでからは、この基本に忠実であるという方向性はとても正しいものであることも分かりました。

しかし、それはあくまで初期の段階であり、技を身につけてからは必ずしも「技を正確に行うこと」だけに集中していて良いわけではありません。

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技を身につける目的を忘れないこと

技を身につける目的とは何でしょうか?

武道においては「相手に勝つこと」です。より正確に言えば、自分のダメージを最小限にして、相手のダメージを最大限にすること、とも言えるかも知れません。

いずれにしろ、戦いにおいて勝つこと、負けないことが目的です。

そのため、武道の技は正確に身につけるだけでなく、それを自在に使いこなせるようにならなければなりません。しかし、私は武道の稽古の中で「技を使う」という意識がついつい薄くなってしまいがちなのです。

なぜそうなってしまうのか。

それは、私の場合は、技をより正しく行うこと、より思い通りに自分の身体をコントロールして正確な技を行うこと、地道に鍛練を重ねること、それ自体に喜びを感じる性格だからです。

技を身につける最初の段階では、この意識が一番大事なのです。

しかし、技を身につけてからは「技を自在に使いこなす」ということまで考えて稽古していなければなりません。

そのため、今はより意識して「技を使う」ということ、そしてその根底にある「戦いに勝つ」という目的を忘れないように鍛練していなかければならないと感じています。

そうしなければ、正確に技を行うことができても、実際の戦いの場では使えない、ということになりかねないからです。

技術・技能を身につける上で意識すべきこと

これは、武道に限らず、いろいろな技術・技能(スキル)を身につける上で、意識しなければならない問題だと思います。

以前、大学院の授業で「日本人は修業じみた方法が好きだ」という話が出たことがあります。つまり、目的よりも目的に至るために手段である「勉強・トレーニング(修業)」に必死になる気質がある、またそれを良いこととする思想があるという話でした。

この意識は、日本人の「何事にも『道』を見つけ求道的に行う」という非常に良い面がある反面、その先にある目的を忘れ、ゴールへの最短距離を走ることや、必要以上の「修業」は省いていく、効率化の意識が薄れがちになる面もあるのではないかと思います。

私の場合も、何かを勉強するときやスキルアップのためのトレーニングを行う時に、この「修業」意識が邪魔することがありました。

勉強・トレーニング自体を目的にしがちになってしまうのです。

そのため、絶えず「目的は何だっけ?」「これは目的への最短距離かな?」と自分に問いかけ続けることにしています。

もしあなたも私と同じようなタイプなら、目的意識を持つことを忘れないように自分に問いかけることを習慣化することをおすすめします。

これから行うべき鍛練

さて、この点から自分の剣術のことを考えると「間合」「拍子」「速さ」「重さ」「技の使い方」などを敵の動きによって、自在に変化できるようになることが、次の目標になります。

いつもの毎日の稽古では、つい無心になって「正しさ」だけを追求してしまうため、まずは「使う」意識をすることを習慣にしていくことからはじめていきます。

これが習慣にできれば「地道に稽古を重ねていく」という自分の特性を活かして、さらに上達できるはず。まだまだ自分の技が成長することが、楽しみで仕方ありません。

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