練習・トレーニング

【力まないために欠かせないこと】4つのポイントとともに徹底解説

2022年8月15日

力まないための方法

力まないのが大事と言われるのはなぜ?」

「力まないためにはどうしたら良いんだろう」

「どうしてもいつも力んでしまう」

このような悩みをお持ちの方に向けてこの記事を書いています。

結論から言えば、力まないためには主に2つのことが必要です。1つは、余計な緊張を抜くこと。もう1つは適切な部位に、適度に力を入れることです。

「力みたくないのに、力を入れる必要があるの?」と思われるかもしれませんが、実は適切な部位に力が入れば、余計な力みがなくなり、全身で見るとリラックスした良い状態になるのです。

そこでこの記事では、

  • 力まないための方法、具体的な手順
  • 力まない方がいい理由

などについて説明します。

運動をしていて力んでしまう方や、日常的に力んでしまって肩こりなどの不調にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

1章:力まないためには適切な部位に適度な緊張が必要

そもそも力まないためには、ただ力を抜けばいいというわけではありません。ただ力を抜くだけでは、かえって別の部位が力んでしまうことも多いのです。

力まないためには、適切な部位に適度な緊張が必要である、ということから説明していきます。

1-1:筋肉に「ゆるめる」という命令はできない?

そもそも筋肉は、収縮する(縮む)ことで力を出すことができます。そのため、筋肉にできることは収縮するか、収縮をやめるかです。

しかし、実は脳は筋肉に対して「収縮しなさい」という指令はできても「ゆるめなさい」という指令はできないそうです。

そのため、筋肉を「ゆるめよう」と思ってもうまくいかないのが普通なのです。

1-2:力んでないつもりでも実は力んでいる

脳は筋肉に「ゆるめなさい」という指令はできないと書きましたが、とはいえ「ゆるめようと思えばゆるめられるよ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そのような場合も実は適切に筋肉をゆるめることができておらず、力んでしまっていることも多いです。

たとえば「肩の力を抜いてください」といわれたとき、多くの方はリラックスするイメージとともに、肩を下げるように力を抜くと思います。しかしこのとき、肩の上部(僧帽筋)の力を抜いたつもりでも、肩の別の部位を緊張させてしまっていることも多いのです。

なぜなら、前述のように、筋肉には「収縮しなさい」という命令しか送ることができないといわれているからです。

つまりこの場合は、別の部位に「収縮しなさい」という命令がいって、その別の部位の筋肉が身体を支えてくれているために、肩の上部の力を抜くことができている、ということです。

このように、自分では「力まないようにしよう」と思っても、実際には別の部位で代償してしまっているだけであることは多いのです。このような身体の使い方では、力む部位が変わっているだけであるため、全身で見ると結局力んだ状態になっている、緊張が強いまま、ということになってしまいます。

そのため、力まないためには、正しい緊張を知ることが大事なのです。

1-3:正しく力まないためには、正しい緊張を知ることが大事

繰り返しになりますが「力まない」こと、つまり余計な緊張を身体から取り除き、リラックスを得るためには、適切な部位に適度な緊張があることが必要です。

先ほどの「肩の力を抜く」例でいうと、首の後ろ側(うなじ)や肩の上部の力を抜くためには、肩甲骨がニュートラルなポジションにきて、肩甲骨の下の方が少し寄るように力が入っている必要があります。

このような形にすることで、背中側の大きな筋肉で肩甲骨周りを支えられるようになるのです。その結果、首や肩の上部の力を抜くことができるということです。

つまり、肩の力を抜くためには、肩甲骨周りを正しいポジションで維持するだけの緊張が必要ということなのです。

ただ「肩の力を抜こう」と思うだけでは、肩甲骨の間が広がって間違ったポジションにきてしまい、別の部位が緊張してしまいます。

そのため、力まない正しい状態をつくるためには、各部位の正しい形、姿勢のイメージを持ったうえで、それを維持するだけの緊張の度合を知っておくことが必要なのです。

ふかや
ふかや
力まないために必要な姿勢や緊張のさせ方は、難しく聞こえるかもしれません。しかし、慣れれば難しいものではありません。これから、具体的なポイントを説明します。

2章:力まないための4つの方法

それではこれから、力まないための4つの方法を解説します。

下記の4つのポイントを押さえながらやっていけば、力まない姿勢や動きを身に着けていけるはずです。

①余計な力みを抜く

②精神的にリラックスすること

③正しい姿勢のイメージを持つこと

④適度な緊張が必要な部位を知ること

順番に説明します。

①余計な力みを抜く

まずは、余計な力みを抜くことが大事です。

余計な力みを抜くためには、最初に全身に思いっきり力を込めます。これ以上力が入らない、というところまで力を入れてから、一気に全身の力を抜きます。

こうすることで、まずは余計な力みを全身から取ることができます。

実は、筋肉が一番緩むのは、最大まで緊張した直後なのです。そのため、このように全身を力ませてから力を抜くことで、余計な力みを取ることができます。

しかし、こうして力を抜いても、それはたいてい一時的なもので終わってしまいます。同じ姿勢を続けたり、他の動きをしたりするうちに、すぐにいつも通りの力みが生まれてしまうからです。

そこで、これから説明する方法も行うことが大事です。

②精神的にリラックスすること

力まないためには、精神的にもリラックスすることが重要です。

ゆっくり深呼吸しながら心を落ち着けてください。アタマの中に浮かんでくるさまざまなことに囚われず、自分の姿を離れたところから見るようなイメージを持ってください。

こうすることで、精神的にリラックスすることができます。

この精神的なリラックスは、これから説明する身体のリラックスをより深めることで、さらに深くすることができます。

③正しい姿勢のイメージを持つこと

さて、ここからが重要なポイントです。全身の力みを取り、それから精神的にもリラックスしました。

これから、正しい姿勢のイメージを持ち、全身の各関節や骨が正しいポジションに来るように微調整することが重要です。

そのために、まずは力まない正しい姿勢のイメージを持ちましょう。

力まない正しい姿勢をするためには、主に下記のポイントを守ることが大事です。

  • 足の接地面は3点を意識
  • 脚の裏面全体を引き上げる
  • 膝は伸ばしすぎず真ん中でキープ
  • 骨盤を立てる
  • 背骨を伸ばす
  • 肋骨を締める
  • 肩の力を抜く
  • うなじを伸ばす

いきなりこのポイントのすべてを守ることは難しいかもしれません。その場合は、まずは背骨を中心に、正しい姿勢をすることが大事です。

具体的には、まず骨盤を立て、背骨を自然なS字をキープさせたまま上下に伸ばし、頭の中心とお尻の穴が一直線上に来るような姿勢にすることです。

こうすることで、最小限の筋力で姿勢を維持できるため、力まずに立ったり座ったりすることができます。

逆に、

  • ストレートネック:首が前に落ちている
  • 胸を張る:胸の部分の背骨(胸椎)が反りすぎ
  • 猫背:胸の部分の背骨(胸椎)が丸まりすぎ、肋骨が閉じている
  • 反り腰:腰の部分の背骨(腰椎)が反りすぎ、肋骨が開いている

といった姿勢では、筋肉を余計に緊張させることになるため、力んでしまいます。

まずは、骨盤を立て、背骨をS字のまま上下に伸ばし、最小限の筋力で姿勢を維持できるように意識してみてください。

正しい姿勢について、詳しくは以下の記事でも説明しています。

④適度な緊張が必要な部位を知ること

力まないための正しい姿勢について説明しましたが、この正しい姿勢を維持するためには、一部の部位には適度な緊張があることが大事です。

具体的には下記の部位です。

(1)首の全体

まずは首の横側の筋肉を使えていることが大事です。多くの人は頭の重さを首の後ろ側で支えてしまっていますが、これでは首こりの原因になります。

わずかに「うなずく」もしくは「顎を引く」感じの動きをしつつ、頭を上に伸ばすようにすると、首の全体の筋肉をバランスよく使うことができ、首の後ろ側が力まなくなります。

(2)肩甲骨の内側の下の方

肩まわりが力まないためには、肩甲骨の内側の下の方に適度な緊張があることが大事です。

逆に言えば、そこ以外の肩回りの筋肉はリラックスしていることが必要です。

正しい姿勢で立つために肩甲骨をニュートラルにする

肩は自由度の高い部位であるため、肩が前に出てしまう「巻き肩」になったり肩に力が入ると肩が上がって「いかり肩」になってしまいます。また、良い姿勢を意識し過ぎて肩甲骨を寄せすぎ、胸を張るような姿勢になったり、逆に力を抜きすぎて肩甲骨と肩甲骨の間が開きすぎ、肩がだらっと前に出てしまっている人もいます。

これらの間違った姿勢では、余計な部位に緊張を生みます。

そのため、肩甲骨は内側の下の方にやや力を入れて寄せ、それ以外の部位は力を抜くようにしてみてください。

こうすることで自然に肩が下がり、肩の上の方や首周りも力まなくなるはずです。

(3)脇を締める

脇は「締める」意識を持つことで、力まない状態を作りやすいです。

脇を締めるとは、端的にいえば「肩を少し後に引いて、上腕骨を外旋させる」ことです。肩を少し後ろに引くには、(2)で説明した肩甲骨の内側の下の方をやや寄せる意識を持つことが必要です。

そのうえで、上腕骨を外旋させるためには肘のシワがある方を正面に(肘の骨の出っ張りがある方を真後ろに)向けるようにしてみてください。こうすることで、脇に少し力が入る感じが分かると思います。

逆に、脇の力が抜けると肘のシワがある方がやや内側を向き、肘の骨が外を向く感じになります。多くの人がこの状態になっており、これでは巻き肩や猫背の原因となる肩甲骨の外転が起こりやすくなります。

肩回りに関しては、(1)首を少しうなずいて上へ伸ばすようにする意識と(2)の肩甲骨の意識、そしてこの脇を締める(上腕を外旋させる)ように力を使うことで、それ以外の余計な緊張が取れて力まない状態をつくることができます。

(4)肋骨を締める、お腹の奥に力を入れる

(1)から(3)のことがうまくできれば、力まないでかつ上半身を真っすぐに立てる「良い姿勢」になることができます。

しかし、これだけでは逆に背中が沿って、胸を前に出すようなまちがった姿勢になってしまう場合があります。

特に「良い姿勢」を普段から心がけている人ほど、背中全体が反り気味で力んでしまう場合があります。

このような場合は、肋骨を締めることが必要です。

肋骨は腕や足のように折れ曲がって動くことはありませんが、肋骨の前面が開くようになる動き(外旋)と、閉じるようになる動き(内旋)をします。体を大きく反ると外旋し、体を丸めておへそを見るようにすると内旋します。

普通に立ったり座ったりしているときは、肋骨の力が抜けてニュートラルな状態になるのがベストですが、(1)~(3)の動きを意識すると、背中が沿って肋骨が外旋する方が多いです。

そのため、肋骨の側面、脇の下当たりから締める意識をしてみてください。脇の下からおへそに向かって斜めに力が入る感じです。(3)の脇を締める力を連動して肋骨からおへそまでが締まり、体幹全体が安定する感じがあるといいです。

正しい姿勢で立つために肋骨を締める

肋骨が外旋すると、肋骨の下端が浮いてしまう感じになりますが、このように力を入れることで肋骨がお腹の内側に収まる感じになります。

体が反り気味になる方は、このように力を入れて背中全体が力まないように注意してください。

(5)股関節の裏側

股関節の裏側あたりも、正しい緊張があると腰、脚全体が力まない状態になりやすいです。

股関節の裏側あたりには、ハムストリングスと言われる筋肉があります。これは①股関節から脚全体を後ろ側に動かすとき②膝から下を折り曲げるときの、大きく2つの動作で働く筋肉です。

しかし、多くの人が正しく使えていないために、太ももの前側やお尻まわりに余計な緊張がある場合が多いのです。このように、股関節の裏側を正しく使えていないと、脚が無駄に太く見えたり、動きが固くぎこちなくなったり、スポーツならパフォーマンスが上がらない原因になります。

そこで、股関節の裏側、具体的にはお尻のふくらみが終わるあたりが正しく使えるようになることが大事なのです。

そのためには、まずは立っているときにお尻の付け根あたりから踵までまっすぐ柱が伸びて、この柱の上にお尻から上の身体を乗っけるような意識で立ってみてください。

この意識を持って、

  • 股関節の裏側に力が入る
  • お尻の表面の力が抜ける
  • 腿の前側(大腿四頭筋)の力が抜ける

という感じがあれば、正しく力を使えています。

すこし難しいかもしれませんが、繰り返し練習すればできるようになるはずです。

ここまでの(1)~(5)のことができれば、ある程度力まない状態をつくれるようになるはずです。

完璧を目指す必要はありません。1つができるだけでも、全身の緊張が抜けて力みがなくなることも多いです。ぜひ試してみてください。

3章:力まない方がいい5つの理由

ここまで力まないためのポイントを説明しましたが、次に力まない方がいい理由を簡単に説明します。

3-1:力まないと疲れにくい

そもそも「力み」とは、余計な筋肉の緊張のことです。余計な緊張があれば、それだけのエネルギーを消費し続けているのですから疲れてしまいます。また、常に緊張し続けていると血流が悪くなり首こり、肩こりなどの原因にもなります。

そのため、余計な緊張をなくして力まないようにしていくことで、疲れなくなっていくのです。

3-2:力まないと不調が出にくい

繰り返しになりますが、力まないと不調が出にくいです。

力み(筋肉の余計な緊張)があると、関節の可動域が制限されることで怪我しやすくなったり、腰痛になったりすることもあります。

力まなければ、関節の可動域が正常になり、また骨・関節のアラインメント(配列)が整うことで激しい動きでも怪我しにくくなるのです。

3-3:精神的にリラックスできる

力まなければ、精神的にリラックスできます。

身体に余計な緊張があれば、精神的にも興奮状態が続いたり、逆に身体の疲れから精神的にも疲れ、やる気がなくなったりしてしまいます。

力まず、リラックスしていられると、精神的にも落ち着き元気に過ごすことができます。

3-4:集中力が増す

力まないと、集中力も増します。

余計な緊張がなく身体がリラックスしていると、それだけ疲れにくく、心も落ち着きますので、目の前のやるべきことに集中しやすくなるのです。余計な力みがなくなるほど集中力が増します。

勉強や仕事はもちろん、スポーツや武道の練習・試合でも同様です。

3-5:いい動きができる

力まないと、あらゆる運動においていい動きができるようになります。

何らかの運動をしている方はご存じだと思いますが、余計な力みがなく、その運動に必要な筋肉だけで動けているときが、もっともいい動きができます。

そのための基本が、2章で解説した基本的な姿勢なのです。

まとめ

力まないことの重要さや、力まないための方法について簡単に説明してきました。

力まない方法としては、下記の4つを紹介しました。

①余計な力みを抜く

②精神的にリラックスすること

③正しい姿勢のイメージを持つこと

④適度な緊張が必要な部位を知ること

文章だけではイメージしにくい部分もあるとは思いますが、参考までにご活用ください。

このサイトでは、このようなセルフケア以外にも「体の正しい使い方」「さまざまな不調の原因と対策」「ずっと心身ともに健康に過ごすための方法」などについて詳しく解説していますので、ぜひ他の記事もご覧ください。

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