プロゲーマーの梅原大吾という方がいます。ギネスブックに「もっとも長く賞金を稼ぎ続けているプロゲーマー」として登録されている、世界最強のゲーマーです。
その梅原大吾が書いた『勝ち続ける意志力』という本を読みました。
正直、私はまったくゲームをしませんし、子供のころもそんなにゲームで遊んだことがない子供でした(当時はみんなプレステや64で遊んでたのですが)。そのため、プロゲーマーの梅原大吾のことは聞いたことはあっても、それほど気にしたことはありませんでした。
しかし、とある本の中で梅原大吾という人間がいかにすごい人間なのか書かれているのを目にして、どんな分野であれ一つの分野を極めた人なのだから、何かしらの学びはありそうだと思い、それほど期待せずに読みはじめました。
読んでみると、これがものすごく面白い本でした。
勝ち続けるためにどんな姿勢でゲームに向き合っているのか、努力を続けるためにどんな考えを持っているのか、詳しく語られています。
私はこの本を読んで、自分が選んだ分野で努力し続けることについて、よりいっそう確固たる自信を持てるようになった気がします。
『勝ち続ける意志力』から学んだことを書いてみます。
勝ち続けるためには本質的な力を底上げすること
ゲームの世界では、次から次へと新しいゲームが出てきて、世界中のゲーマーが新しい攻略方法や戦い方を編み出していくそうです。そのため、技術にも流行があるのだそう。
また、ゲーマーでも特に本気で打ち込んでいる人の中には、ゲームの外で心理的な揺さぶりをかけてきたり、こちらの戦い方を分析して弱点を突いてくるような戦い方をする人も多いそうです。
しかし、梅原大吾はそんな戦い方はしないと明言しています。
なぜなら、流行や人の弱みを利用した戦い方は、条件が変われば通用しなくなるからです。
したがって、彼は流行やプレイヤーに左右されない、自分が正しいと思う努力を重ねて、その努力の中から絶対的な自信を得ていったようです。
僕にとって何が自信につながったかと言えば、それはゲームの上手さや強さではなく、苦手なものを克服しようとしたり、あえて厳しい道を選んだりする自分の取り組み方、高みを目指す姿勢を貫けたという事実があったからだ。
しかも、そうやって生み出した自分の戦い方にすらこだわらず、とにかく常に新しい技術を編み出し、新しいレベルに自分を引き上げていけるように努力を続けているのです。
それが、ギネス記録になるほどの彼の勝ち続ける力になっています。
だいたいの人は苦労して生み出したものに固執し、浸ってしまう。「これでしばらく大丈夫だ」と安心してしまう。それがひとつの弱みとなってしまうだろう。そして、いずれは貯金を食いつぶすことになる。
以下のようなことも言っています。
相手を弱くすることよりも、自分が強くなることの方が大事だと分かったのだ。人の邪魔をすることで優位に立とうとする人はいるだろうが、そういう人はいずれ消えていく運命にあると悟った。
シンプルですが、至言だと思いました。
目先の勝敗にこだわらず、より長期的に自分を成長させるような生き方をしています。私もそんな在り方を真似したいです。
変わり続けるためには自分と向き合うこと
梅原大吾が大事にしているのは「変わり続けること」です。そして、変わり続けるために、自分自身と徹底的に向き合うことを何度も繰り返しているのだと、本の中で説いています。
何かを恐れ、回避し、ごまかしながら前進したとしても、上に行こうとすれば、ほとんどの場合回避したはずの壁に結局ぶち当たらざるを得ない。ぶち当たるというか、その壁を越えなければ結局上に行けないような仕組みになっているのだと僕は感じている。
努力をすること、目標の達成を目指して行動することは、一見良いことのようですが、実は他の「やらなければならないこと」から目をそらした現実逃避であることもあります。
その時はその「やらなければならないこと」を避けることができても、一度逃げた問題は人生の中で何度も繰り返し登場し、結局それを超えなければ新しいステップには進めない。そんなことも、私自身過去に感じたことがありました。
これはコーチングで言う「未完了」というものと同じだと思います。
分かっていてもなかなか難しいことですが、彼はそれを経験的に知っていて、自分自身とまっすぐ向き合って努力をしていることが分かります。
すなわち集中力とは、他人の目をいかに排斥し、自分自身とどれだけ向き合うかにおいて養えるものかもしれない。
そうやって自分自身と向き合い続けた結果に生まれるのが「集中力」なのだと、彼は言っています。
さらに、梅原大吾がプロゲーマーとしてトップを極めるまでどのような努力をしてきたのか、その努力の仕方についても本の中で語っています。
梅原大吾流の努力の仕方
梅原大吾の語る努力の仕方について、学びになったことが2つあります。
- セオリーや型に頼りすぎない
- 量より質を重視している
それぞれについて学びになったことを書きます。
セオリーや型に頼りすぎない
ゲームの世界には「こうやった方が効率的に勝てる」というセオリーや攻略法のようなものがあるそうです。
しかし、梅原大吾はあえてそのようなセオリーは重視していません。
なぜなら、セオリーを重視するというのは「いかに楽に結果を達成するか」ということであり、それはゲームに対してまっすぐに向き合っていないから。
結果ばかりを追求していると、型にはまった考えしか浮かばなくなる。もっと効率のいい戦法はないか、もっと安全な戦い方はないか。理屈を捏ねては理由づけをする。
そのため、梅原大吾は常に自分自身で新しい戦い方を見付けられるように、努力しているのです。
量より質を重視している
さらに、彼は量よりも質を重視した練習にこだわっているようです。
彼自身、1日中練習し続け寝る間も惜しんでゲームのことを考え続けるような期間はあったと書かれていました。しかし、この本が書かれた当時は1日6時間程度しかプレイせず。あとは他の仕事をしたり、ゲームの内容を分析することに使っていたそうです。
私は、一部のゲーマーが毎日十数時間もゲームをしているということを何かで耳にしたことがあったので、1日6時間という数字は短い気がしました。
しかし、梅原大吾は量よりも質を重視しているため、これで十分なようです。
自分の限界を超えた期間限定の頑張りというのは、結局は背伸びに過ぎない。食事も満足に摂らず、睡眠時間も削るような取り組み方が長続きするはずがない。
長く努力しようと思ったら、無理な努力はかえって遠回りになります。
そのため、しっかり休みつつできる最大限の努力をすべき、というのが彼の考え方のようです。
ガムシャラな努力は短期間しか続かないし、それでは何年も活躍し続けることはできません。そのため、彼は10年続けられるくらいの努力量がちょうど良いとも書いていました。
また、ガムシャラな努力は「頑張っている気」にはなれても本当に成長できているとは限りません。努力すること自体に自己満足し、本当に成長するために何をすべきか自分の頭で考えていないこともあります。
私も、これは自分の経験上よく分かります。
自分を痛めつけ、頑張っている気になっているだけで、実際には前に進めていないことも過去にはありました。
なぜその分野を追求するのかを自分の頭で考えて明確にし、本当に目的にかなった努力を探して、ずっと続けられる方法で努力する。
私もそんな姿勢を真似していきたいと思いました。
まとめ
ここ最近、何らかの分野を追求する人の本を立て続けに読みました。アスリートや武術家、そしてプロゲーマーです。
これらの本を読んで、やはり一つの分野を追求してトップに至るような人は、共通する心の強さや考え方、在り方を持っていることが再認識できました。
そして彼等も一人の人間ですから、日常生活とのバランスや周りの声、自分の心から生まれる迷いなど、様々なものから左右されつつ、一つ一つの戦いに勝って今の強さを手に入れてきたのだと実感しました。
『勝ち続ける意志力』もとても良い本だったので、ぜひ手に取ってみることをおすすめします。