「骨盤を立てた正しい座り方が知りたい」
「座るときの正しい姿勢ってどんなもの?」
「疲れず、歪まない座り方が知りたい」
このようにお悩みの方に向けて、この記事を書いています。
実は多くの方が、骨盤が原因で正しく座れておらず、そのために座っているのにすぐに疲れたり、腰痛になったり、猫背になったりしてしまっています。
そのため、正しい座り方をするために、まず骨盤を立てることが大事なのです。
骨盤を立てるとは、背骨の付け根、つまり骨盤と背骨のつなぎ目の部分(仙骨、腰椎あたり)がしっかりと立ちあがっている状態のことです。
この記事では、
- 骨盤を立てた正しい座り方とは
- 骨盤を立てた正しい座り方のメリット
- 正しく座る方法
などについて詳しく解説します。
知りたいところから読んで、できることからやってみてください。
1章:骨盤を立てた正しい座り方とは
まずは、骨盤を立てた正しい座り方とはどういうものか、ということから説明していきます。
正しい座り方のメリットについては2章を、具体的な座り方の解説は3章をお読みください。
1-1:座り方を理解するために骨盤の形を知っておこう
そもそも、骨盤は下記のような形になっています。
骨盤は、解剖学的には寛骨といい、上の方を腸骨、座った時に地面につく部分を坐骨、前側を恥骨といいます。解剖学的には3つに分けますが、実際には一体になっています。
そして、腸骨の間には仙骨があり、これは骨盤とは別の骨です。仙骨は背骨の下にあり、仙骨によって骨盤と背骨が繋がっています。
人間が座るときは、体幹の重みを骨盤で受けて、かたい坐骨を地面やイスにつけることで体重を支えられます。
そのため、体幹の形や骨盤の向き、形が歪んでいると、体重を骨でうまく支えられません。その結果、筋肉が緊張して疲れ、痛み、こり、歪みなどの原因になるのです。
1-2:間違った姿勢の骨盤の形
ここで間違った座り方のときの骨盤の形の例を見てみましょう。
間違った座り方をすると、骨盤は下記のように前傾しすぎたり、後傾しすぎたりします。
簡単にいうと、骨盤の前傾とは、腰が「反り腰」になることです。骨盤の後傾とは、腰が「猫背」のように丸くなることです。
注意すべきなのは、外からは分からないくらいのレベルで、わずかに骨盤が前傾、後傾してしまっていることもあるということです。そのような場合は、自分では正しい姿勢をしているつもりなのに、なぜか疲れやすい、すぐに姿勢を変えたくなる、といったことになりやすいです。
そのため、骨盤を正しく立てた座り方を身に着けることが大事なのです。
1-3:骨盤を立てた正しい座り方
骨盤を立てた正しい座り方とは、下記のようなものです。
そもそも、背骨は横から見たときに、軽いS字を描く形をしているのが正常です。そのため、腰に近い部分(腰椎)はお腹の方に向かって軽く反っています。
そのため、座っているときの骨盤の状態も、若干前傾しているくらいが正しい形です。つまり、骨盤を立てた正しい座り方とは、骨盤が若干前傾している形になります。
ただし、骨盤の上についている背骨に歪みがあれば、骨盤も正しく立ちません。したがって、骨盤を立てるだけでなく、背骨に自然なS字があることが重要です。
このような座り方をするためには、下記のポイントを押さえて座ることです。
- イスには浅く座る
- 股関節を引き込む意識で骨盤を立てる
- 頭をお尻の真上に持ってくる
- 坐骨の2点の上に体重を乗せる
詳しくは3章で説明します。
その前に、先に骨盤を立てて正しく座るメリットを簡単に紹介します。
2章:骨盤を立てて正しく座るメリット
骨盤を立てて正しく座るメリットは、下記の通りです。
2-1:座り続けても疲れにくくなる
骨盤を立てて座れば、座っている時間が長くても疲れにくくなります。
骨盤を立てることで、上半身がお尻の上に真っすぐに乗る形になるため、使う筋力が最小限になるためです。
2-2:肩がこらない
骨盤を立てて座ることで、肩がこりにくくなります。
前述のように、骨盤を立てて座ると使う筋力が最小限になるため、筋肉の余計な緊張も減っていくためです。
2-3:心が落ち着く
骨盤を立てて座ると、心が落ち着くというメリットもあります。
骨盤が安定することで、心も落ち着いてくるのです。逆に、姿勢が悪ければ余計な疲れ、こり、痛みなどから、精神的に不安定になりやすいです。
2-4:座るだけで運動になる
骨盤を立てて正しく座ると、座っているだけでいい運動になります。
骨盤を立てて座ると、インナーマッスルをしっかり使うことができるからです。座っているときに使うのは主にお腹の奥の方のインナーマッスルですが、これが鍛えられると歩きを中心にさまざまな運動をしやすくなります。
このように、骨盤を立てて正しく座るメリットには多くのものがあるのです。
それでは次に、骨盤を立てて正しく座るための具体的な方法を説明しますので、できることから試してみてください。
3章:骨盤を立てて正しく座る方法
骨盤を立てて正しく座る方法は、下記の通りです。
- イスには浅く座る
- 股関節を引き込む意識で骨盤を立てる
- 頭をお尻の真上に持ってくる
- 坐骨の2点の上に体重を乗せる
順番に説明します。
3-1:イスには浅く座る
骨盤を立てて正しく座る上で、まずはイスには浅く座ることをおすすめします。
イスに座るときには、後にも説明するように坐骨の2点がイスにあたり、体重が乗ることが大事なポイントになります。
この坐骨さえイスに乗っていれば、浅めに座った方が楽に姿勢を維持できるのです。
逆に、イスに深く座ってしまうと、体は無意識に、座面(イスに座っているお尻の面)の真ん中に体重を乗せようとしてしまいます。その結果、頭が前に出て猫背になってしまうのです。
イスに浅く座れば、坐骨・骨盤の真上に頭を持ってきやすくなるため、楽に姿勢を維持できるのです。
3-2:坐骨の2点の上に体重を乗せる
骨盤には坐骨というものがあります。
坐骨とは、硬いイスに座った時に、イスにゴリゴリとあたる2つの骨のことです。股関節の裏当たりに感じると思います。
骨盤を立てた座り方では、この坐骨の2点にしっかりと体重を乗せることが大事です。
硬いイスの方が分かりやすいのですが、イスに浅く座って骨盤を立てると、お尻の骨(坐骨)がイスに当たるのが分かるはずです。
このこの坐骨の2つの点で支える感覚が弱いと、他の部分に力みが生まれ、余計な緊張から疲れやすくなります。
また、姿勢が悪く骨盤が前傾・後傾していると、この坐骨の2点に体重が乗る感覚ができません。
坐骨の2点の、それぞれのど真ん中に体重が乗るイメージで、骨盤を立てて真っすぐ座りましょう。
3-3:股関節を引き込む意識で骨盤を立てる
骨盤を立てた正しい座り方は、股関節を引き込む意識を持つことでよりよくなります(この方法は慣れてきたらやってみましょう)。
股関節を引き込む感覚を持つことで、お腹のインナーマッスルを使って骨盤を支え、正しい姿勢を維持できるようになるからです。
股関節を引き込む感覚というと、少し難しいかもしれません。簡単にいうと下記の図のような意識です。
さらに、下記のような練習をするとより感覚が身につくはずです。
①股の「コマネチライン」をさする
いわゆるコマネチラインというラインが、脚の付け根にあります。このラインは股関節を意識する上でとても大事なので、このラインをさすってください。さするだけで意識が高まります。
②コマネチラインに手を置いて引き込む
上記のコマネチラインに手を置いて、これを股関節で中に引き込むようにしてください。この感覚を覚えて、手を置かずにできるようになるといいです。
3-4:頭をお尻の真上に持ってくる
ここまでも簡単に触れましたが、骨盤を立てた座り方で疲れないためには、頭をお尻(=骨盤)の真上に持ってくることが大事です。
頭をお尻(=骨盤)の真上に持ってくることで、上半身を一直線上に置くことができます。傾きがなくなると筋肉を余計に使わなくてよくなるため、疲れにくくなります。
骨盤を立てた正しい座り方は、これらのポイントを押さえておくことが大事なのです。
疲れない座り方については、下記の記事も参考にしてみてください。
-
参考【疲れないための正しい座り方とは】4つのポイントを徹底解説
続きを見る
-
参考正しい座り方が疲れるのはなぜ?今すぐできる5つの対処法を徹底解説
続きを見る
4章:骨盤を立てた座り方疲れる場合の対処法
「骨盤を立てた座り方でも疲れてしまう」という場合もあると思います。
そのような場合は、骨盤を正しく立てられていない可能性が高いです。また、必要な筋力がついていなければ、慣れるまでは疲れることがあります。
4-1:骨盤が正しく立てられていない場合
座っていると「背骨の下の方、腰のあたりが疲れる」「背中が疲れる」「腰が痛くなる」といった場合は、骨盤を正しく立てた座り方ができていません。
骨盤を立てるとは、股関節を軸にして骨盤を少し前傾させたところで、キープした姿勢です。
この骨盤の角度を作れておらず、骨盤が後傾気味になっていると腰が疲れたり、痛くなったりしやすいです。なぜなら、骨盤は後傾しているのに、無理に背骨をまっすぐに立てようとしてしまい、背骨まわりの筋肉を緊張させてしまうからです。
そのため、まずは骨盤をしっかり前に倒せるようになること、それをキープできるようになることが大事です。
この動きを覚えるために「骨盤起こし」という運動をおすすめします。
■骨盤を立てるための「骨盤起こし」の運動
①イスに浅めに座って、腰に手を当てます。視線は正面よりやや上を向き、骨盤を立てて姿勢をまっすぐにします(だいたいで大丈夫です)
➁ここから、手を使ってサポートしながら骨盤を後ろに倒していきます。このとき、股関節から動く意識を持ちましょう。骨盤を倒した結果として、背骨が全体的に丸まります。目はおへそを見ます。
③ある程度丸まったら、今度も股関節からの動きを意識しながら、骨盤を前傾させていきます。それにつられて、背骨全体が反っていきます。目線は正面より少し高いところを見る形になり、顎を少し突き出して前に体重をかけるようにします。
④ここから、また➁の動きで後傾していきます。この前傾後傾を繰り返してください。
この運動をすることで「骨盤を立てる」という感覚が身に付きます。
4-2:必要な筋力がついていない場合
必要な筋力がついていない場合も、骨盤を立てて正しく座ることを続けにくいです。
その場合は、4-1で書いた骨盤起こしの運動を繰り返してみてください。繰り返すことで、必要な筋力がついて骨盤を立てる座り方を続けやすくなります。
また、そもそも人間の身体は、同じ姿勢を続けること自体が得意ではありません。そのため、仕事などでどうしても長時間座り続けなければならない場合などは仕方ありませんが、できるだけ同じ姿勢を続けず動き回った方が身体にとっては楽です。
この点については、下記の記事で詳しく説明しています。
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参考【体が歪むのはなぜ?】生活全般にある原因と具体的な4つの対処法
続きを見る
この記事で紹介した座り方に注意して座り、さらに同じ姿勢を続けないように気を付けて生活すれば、身体はどんどん楽になっていくはずです。ぜひ活用してみてください。
まとめ
この記事では、骨盤を立てた正しい座り方について説明しました。
座り方のポイントは、
- イスには浅く座る
- 股関節を引き込む意識で骨盤を立てる
- 頭をお尻の真上に持ってくる
- 坐骨の2点の上に体重を乗せる
という4点です。
また、この座り方ができるようになるための運動として「股関節を引き込む運動」と「骨盤起こしの運動」を紹介しました。
ぜひ参考にしてみてください。
このサイトでは、このようなセルフケア以外にも「体の正しい使い方」「さまざまな不調の原因と対策」「ずっと心身ともに健康に過ごすための方法」などについて詳しく解説していますので、ぜひ他の記事もご覧ください。
■剣術師範、整体師(身体均整師)、ライター。セルフケア・トレーニングのオンライン教室運営中。
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