社会が抱える問題

デジタル化が進む社会だからこそ、カラダの存在感を取り戻すことが必要(1)

デジタル化が進む社会だからこそ体の存在感を取り戻すべき

近年は生活や仕事のあらゆる場面でデジタル化が進んで、生活や仕事の多くの場面で肉体を使うことが減っています。正確にいえば、肉体を使ってはいるけれども、その動きが局所的(目や指先ばかり)になったり、動きが画一的になったりして、体を全体的、多様に使う場面は減っています。

スポーツやフィットネスをしている人はいるかもしれません。しかし、スポーツやフィットネスでの動きも限定的なものですので、やはり体の使い方は偏っています。

また、仕事も娯楽もアタマの中(観念)の世界で行われる割合が増えています。いわゆる「頭脳労働」といわれる仕事がそれであり、また娯楽の時間に「Youtubeを見ている」「SNSを見ている」「ネットフリックスを見ている」といった人は、アタマの中だけで消費活動を楽しんでいるということです。

つまり、現代人の生活はアタマの中を働かせる時間が増える一方であり、カラダを使う場面は減る一方だということです。

このような生活に変わったおかげで、生活は楽になり、生活や仕事の中で肉体労働が減り、大けがをしたり、疲れ切ることも減ったことでしょう。しかし、私はこのようなデジタル化が進んだ時代だからこそ、カラダの存在感を再獲得していくべきだと考えています。

この点について、この記事で簡単に述べています。

1章:「デジタル化=アタマ(観念)中心の社会」が進んで病む人が増える

冒頭で述べたように、デジタル化が進むということはアタマの中での消費活動や仕事の大半がすまされるようになるということです。

人類は歴史のほとんどを肉体を使いつつアタマも使う、という生活をして過ごしてきました。しかし、これがここ数十年の間で、一気にアタマ偏重へと変化しているわけです。その結果、多くの人のアタマは、働きすぎの状態にあると考えられます。

このような状態を、私が行っている身体均整法の十二種体型という分類では「頭脳型」といいます。頭脳型とは、その名の通りアタマを使いすぎそれに応じた姿勢になっているタイプの体型のことで、私が身体均整法を習ったときは「現代人の多くは頭脳型になっている」と聞きました。

人間の想像力は無限ですから、このような「頭脳型」の現代人はアタマが働きすぎ、考えなくてもいいことまで考えが進んでしまうのではないでしょうか。「問題」は人間の想像力の限り考えだされますが、現実的に解決できる問題は一握りです。ということは、アタマが働きすぎるほど解決できない「問題」は増えてしまいます。

その結果、悩まなくてもいいことまで悩んでしまい、病んでしまう人も増えます。また、自分の生活に不満を持ったり、現実を変えたいと葛藤する人も増えるのではないでしょうか。

すでに多くの方が指摘されていることですが、現代の日本社会には根強い閉塞感や不安があると感じます。その閉塞感や不安の背景にあるのは多くの人のアタマの働きすぎにある、というのが私の考えです。

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2章:近代化に伴うカラダ文化の崩壊とアタマ中心社会の発展

ここを一言でまとめると、文明の発展によって「アタマの働きすぎ社会に変わってきた」ということです。

逆に、カラダの方から日本社会の過程を見つめると、カラダの文化が失われてきた過程として捉えられると思います。武道・武術や能、歌舞伎のような伝統芸能、飛脚のような特殊な移動法、大工などの職人の技術など、前近代の日本には体を使う豊かな文化がありました。

西欧の文明のように肉体労働を動力の発展に置き換えず、わずかな道具の発展とその使い方の工夫、そして体の使い方の工夫として発展させたのが日本の体の文化だったのだと思われます。

(参考👇)

しかし、近代化とともに日本は西欧から科学技術を取り入れ、急速に文明化したのは歴史の教科書にもある通りです。その結果、豊かな体の文化は失われていきました。現代では、武道・武術他の伝統文化の世界など、一部にしか残っていません。

近代化とは世界の文化の西欧化の過程でもありますので、このような歴史は日本に限定したものではありません。世界中で豊かな体の文化は失われていったのでしょう。

このように、日本社会の過程は、大きく捉えれば、カラダの文化の喪失とアタマ中心の社会への変化とまとめられると思います。

とはいえ、前近代的な生活に戻ればいいというわけではありません。文明化のおかげて、私たちはさまざまな恩恵を受けています。メンタルを病んだり、体の不調が増えてしまうのは文明化の副作用のようなものでしょう。

そのため、現代を生きる私たちがやるべきなのは、過去の豊かな体の文化を見直して、現代の生活の中に何とかして取り入れていくことだと思います。

この続きは、次の記事で述べていきます。

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