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背骨を伸ばして正しい姿勢をつくるメリットと5つのトレーニング法

「背骨を伸ばすと姿勢がよくなるのかな?」

「どうやったら背骨を伸ばせるんだろう」

このようにお悩みの方は少なくないでしょう。

結論からいえば、ただ背骨を伸ばすだけでは姿勢がよくなるとは限りませんし、肩こりなどの不調が改善できないことも多いです。

重要なのは、正しく背骨を伸ばす感覚を得ること、そして背骨を含む全身の正しいポジションを知っておくことです。

さらに、正しい背骨の使い方をしっておくと、身体を効率的に使ってスポーツや武道でもよりよいパフォーマンスを生めるようになります。

また、人によっては身長が数ミリ~数センチ伸びることもあるようです(正しく言えば、縮まっていた身長が元に戻るということです)。

この記事では、

  • 疲れにくい姿勢とはどういうものか
  • 背骨を正しく伸ばすことの効果
  • 背骨を伸ばすトレーニングの具体的な方法

について詳しく解説します。

背骨を伸ばしてよりよい身体の使い方をしたいという方は、〇章を読んでください。

1章:背骨を伸ばすと姿勢が良くなるとは限らない

まず知っておいてもらいたいのは、今姿勢が悪いからといって、ただ「背骨を伸ばすようにすれば姿勢がよくなる」というわけではないということです。これから説明します。

1-1:正しい姿勢で大事なのは自然なS字があること

結論からいえば、正しい姿勢というのは背骨で自然なS字が描けている状態のことです。

そもそも、人間の背骨は、健康な状態であれば頸椎(首の部分の背骨)がやや反り、胸椎(肋骨がある部分の背骨)がやや丸まり、腰椎(腰の部分の背骨)がやや沿っている状態になります。

背骨の区分

しかし、

  • 座りすぎの生活
  • 動きや姿勢の癖
  • 筋力不足
  • 怪我

などさまざまな原因から、自然なS字の形が微妙に崩れていってしまうのです。

人間は、自分の身体の重さを骨で支えられるような構造になっています。背骨は、その骨の中でも体重を支える上でとても重要な骨です。

そして、自然なS字の形になっているときは、背骨の骨の力によって体重を支えられるため、余計な筋肉の緊張をしなくても身体を支えられるのです。

逆に、この自然なS字が崩れてしまうと、骨で支えきれない分の体重を筋肉によって支えなければならなくなります。

これが長時間になると、筋肉を常に緊張させることになるため、やがて凝り固まり肩こり、首こりになったり、腰痛になったりしてしまうのです。

1-2:背骨を伸ばすとはどういうことか

そこで大事なのが、背骨を自然なS字の形に戻して、綺麗な姿勢で体重を支えられるようにすることです。

そして、多くの方は猫背やスマホ首(ストレートネック)になって、頭が前に落ちてしまう姿勢になっています。

ストレートネック

そのため、この姿勢を改善しようと考えて「背骨を伸ばそう」とする方が少なくないようです。

しかし、実は単に背骨を伸ばせばいいというわけではありません。

これまで体を正しく使ってこなかった方が、たんに「背骨を伸ばそう」「姿勢をよくしよう」と意識して姿勢を変えようとすると、

  • 腰を反りすぎる
  • 骨盤を前傾させる
  • 腰椎を反らせたり、緊張させてしまう(腰椎は本来、少し丸まるもの)

といった間違った姿勢をしてしまう可能性があります。

これらの姿勢を作ると、一見正しい姿勢になったようには見えるかもしれませんが、実は余計な力み、緊張や間違った形をつくってしまっているため、別の部分に不調があらわれる場合もあるのです。

そのため、重要なのはたんに背骨を伸ばすのではなく、正しい姿勢、正しい力の入れ方で背骨を伸ばすことなのです。

さて、詳しい背骨を伸ばす方法については3章で説明しますが、その前に背骨を正しく伸ばすメリットを紹介します。

2章:背骨を伸ばすことのメリット

背骨を伸ばすことのメリットには、下記のものがあります。

  • 肩こりなどの不調を予防、解消できる
  • シェイプアップ効果がある
  • インナーマッスルを使えるようになる
  • 背骨を使って身体を支える感覚が分かる

順番に説明します。背骨を伸ばした正しい姿勢をつくる具体的な方法を知りたい場合は、3章からお読みください。

2-1:肩こりなどの不調を予防、解消できる

1章でも説明したように、丸まった背骨を伸ばして正しいS字に戻すことで、筋肉の余計な緊張を解消することができます。

そのため、肩こり、首こり、腰痛などの不調を改善することが可能です。

他にも、背骨のゆがみがさまざまな不調の原因、遠因になっている可能性がありますので、背骨の形の改善で多くの不調に好影響が出ると思われます。

2-2:シェイプアップ効果がある

背骨を伸ばして正しいS字をキープする姿勢では、自然にお腹の奥の筋肉を使います。

S字が崩れると、それを支えるために腰や背中の上部の筋肉を緊張させてしまいますが、正しい姿勢ではお腹の奥の筋肉で体を支えます。具体的には、背骨のお腹側についている腸腰筋などの筋肉です。

姿勢が悪い場合、このあたりのお腹周りの筋肉が弱って、お腹全体が出てしまう場合が多いです。

しかし、正しいS字を作ってお腹の筋肉を使えるようになると、その分引き締まってシェイプアップ効果があるのです。

2-3:インナーマッスルを使えるようになる

背骨を伸ばして正しい姿勢をキープできるようになると、インナーマッスル(深層筋)を使えるようになります。

普通の生活をしているだけでは、表面の筋肉(アウターマッスル)を主に使っていることが多いです。また、普通の筋トレでも表面の筋肉を使うことが多く、むしろ筋トレすることでアウターマッスルを使う意識が強くなり、インナーマッスルを使う意識が薄れる場合もあると思います。

しかし、インナーマッスルを使う意識を強くすることができると、さまざまな動きの質を上げることができます。

たとえば、

  • 長時間の同じ姿勢や、運動で疲れにくくなる
  • 全身の繋がりが強くなり、スポーツや武道での動きの質が向上する

といった効果があります。

そのためには、普段からインナーマッスルを使う意識付けが大事です。そのためにも、背骨を伸ばす正しい姿勢を覚えることが大事になるのです。

2-4:背骨を使って身体を支える感覚が分かる

背骨を伸ばした正しい姿勢を覚えることで、背骨を使って身体を支える感覚が分かるメリットもあります。

「誰でも背骨で身体を支えているのでは?」と思われるかもしれませんが、背骨を「伸ばして身体を支える」感覚を持っている方は多くないと思います。

背骨を伸ばして身体を支える感覚とは、背骨を上下に伸ばし、背骨と背骨の隙間を広げるような感覚です。

この感覚が生まれると、たとえば、

  • 長時間動いても疲れにくくなる
  • 人から押されても姿勢が崩れない
  • 打撃力がアップする

というように動きの質を向上させることができます。

このように、背骨を伸ばす感覚で姿勢・動きの質が向上するのは「伸ばす力」を使えるようになるためであると思います。

私の武道経験からも、人間の身体は、縮めて、力ませて支えるよりも、伸ばす力で支えた方がずっと強い力が発揮できます。これは背骨に限らず、身体のさまざまな部位で同様です。

しかし、日常生活や普通のスポーツ経験くらいでは、伸ばす力をそれほど使わなくても何とかなります。そのため、多くの人が伸ばす力に触れることなく過ごしているのだと思います。

したがって、伸ばす力を身に付けることは多くの人にとって難しいのですが、それをまずは背骨を伸ばす感覚で養うことができます。

とはいえ、まだイメージしにくいかもしれませんので、これから背骨を伸ばすトレーニングを一部紹介します。

3章:背骨を伸ばすトレーニング

背骨を伸ばすという感覚は、具体的には以下のようないくつかの動き、意識ができるようになることで生まれるものです。

3-1:うなじを真上に伸ばす

まず、うなじを真上に伸ばす意識をしてみましょう。

背骨にはもちろん頸骨(首の骨)が含まれますが、背骨が伸びる意識を持つためには、頭を真上に伸ばすよりも、うなじを伸ばす意識の方が意識しやすくなると思います。

背骨の区分

うなじを伸ばす、真上に数センチ上げるような意識を持つことで、首から下の背骨に少し張りが出るような感じが出ると良いです。

背骨を伸ばすためにうなじを伸ばす

ただし、真上のつもりでも前後にずれてしまう場合がありますので、鏡などで見ながら慎重に行ってください。

3-2:しっぽを真下に伸ばす

次に、しっぽを真下に伸ばしてみましょう。

もちろん人間には通常、しっぽは生えていません。しかし、背骨の末端には尾骨があります。ここからしっぽが生えている意識をもって、それを真下に伸ばしてみます。

もちろん、ただ背骨の末端を真下に伸ばすだけの意識でも大丈夫です。

うなじを伸ばす意識と同時に、しっぽを伸ばす意識をすることで、背骨を上下に引っ張ることができます。

これが背骨を伸ばすという感覚です。

ただし、注意点がいくつかありますので、これから説明します。

3-3:腰を反りすぎない

まず大事なのが、腰(腰椎)を反りすぎないということです。

背骨を伸ばすためには腰を反らないこと

ここでの腰とは背中の下部、お尻の上から背中の真ん中あたりまでの背骨のことです。

いわゆる「いい姿勢」をしようとすると、腰を反ってしまうことがあります。猫背にならないように意識しすぎて、腰を反る癖がついている方が少なくありません。

しかし、腰を反ると背中側のアウターマッスルを緊張させて姿勢を支えることになるため、長く続けると背中が疲れたり、こったりしてしまいます。

そのため、大事なのはあくまで背骨を伸ばして自然なS字を描けるようにすることです。

腰を反る意識がある人は、あえて少し丸める意識を持ってみましょう。

鏡で見て、背骨が真っすぐ平らになるくらいで大丈夫です。

この形を維持しようとすると、お腹側の筋肉を使わざるを得なくなります。そこで、少しずつお腹の奥を使えるように工夫してみてください。

3-4:胸を張らない

背骨を伸ばす意識を持とうとすると、胸を張ってしまう方も少なくありません。

胸を張るというのは「胸椎(胸の部分の背骨)を反る」「肩甲骨を背中側に寄せる」という大きく2つの要素が組み合わさったものですが、このどちらも、正しい姿勢のためには逆効果です。

背骨を伸ばすためには胸を張らないこと

そもそも、背骨は自然なS字を描くものですが、胸(胸椎)の部分はやや丸まるのが自然な形です。そのため、この部分が反ってしまっているということは、背中側に余計な緊張があり、肩こり、首こりにも繋がりやすいのです。

胸が沿っているかどうかをチェックするポイントは、胸骨の角度です。

胸骨とは胸の真ん中にある骨ですが、この胸骨の下の方が前に出てしまっている場合、胸椎を反ってしまっている可能性があります。

その場合は、お腹に少し力を入れて胸骨を垂直の角度にするようにしてみましょう。

お腹に力を入れると、身体の前と後ろの筋肉のバランスが取れてフラットになります。そして、胸の反りがなくなり、背骨を上下に正しく伸ばすことができます。

これらは意識すべきポイントの中でも、もっとも重要なものです。

これらを意識して、これから紹介するエクササイズをしてみてください。

4章:背骨を伸ばす5つのエクササイズ

背骨を伸ばすエクササイズとして、簡単にできるものには以下のものがあります。

  • 寝っ転がって背骨を伸ばす
  • 立った状態で背骨を伸ばす
  • 座った状態で背骨を伸ばす
  • 四つん這いで背骨を伸ばす
  • 三点倒立をする

順番に説明します。

4-1:寝っ転がって背骨を伸ばす

最も簡単なのが、寝っ転がって背骨を伸ばす運動です。

(1)床に仰向けで寝っ転がる

(2)手足を肩幅くらいに開く

(3)足を真下に向かって、手を真上に向かって思いっきり伸ばす

(4)伸ばしきったら、一気に力を抜く

これだけでもある程度、背骨を伸ばすことはできます。

普段の生活で背骨が縮まってしまっている場合は、このようなストレッチをときどき行ってリセットすることをおすすめします。

ただ思いっきり伸びるだけでストレッチにもなりますが、3章で紹介したポイントを意識することで、正しく背骨を伸ばす意識のトレーニングにもなります。

4-2:立った状態で背骨を伸ばす

立った状態で背骨を伸ばすエクササイズは、4-1で紹介した内容を立った状態で行うだけです。

立った状態では、全身を自分で支えなければならなくなる分、寝た状態で行うより難しくなります。そのため、普段の癖が出ないように、3章のポイントをよりしっかり意識してみましょう。

4-3:座った状態で背骨を伸ばす

次に座った状態で行います。

座った状態では、人によっては猫背になったり、腰を反ったりしやすいです。そのため、それらの癖が出ないように注意してください。

また、3章のポイントに意識して座った上で、それを座っているときは常に意識してできるように注意してみてください。

4-4:四つん這いで背骨を伸ばす

四つん這いでのエクササイズでは、背骨を伸ばす意識を身に付けやすいです。

(1)腕を肩幅に開き、肘を伸ばして床につける

(2)膝を骨盤の幅に開き、大腿骨(太ももの骨)が地面に垂直になるように床につける

(3)この状態で頭を前に押し出し、同時にお尻を後に押し出す

四つん這いになると、背骨の形だけに意識を向けやすいです。このエクササイズでは、頭を前に押し出し、お尻を後ろに押し出すようにすることで、背骨を伸ばす意識を養います。

4-5:三点倒立をする

ここまでである程度背骨を伸ばす意識を養うことができたら、できる方は三点倒立をしてみましょう。

三点倒立とは、下記のようなものです。

背骨を伸ばすために三点倒立をする

ポイントは以下の通りです。

(1)まず頭を地面につける

(2)頭と両手が正三角形になるような場所に、両手をつける

(3)肘を締めて脇が開かないようにしつつ、膝を伸ばしてお尻を高く上げる。この時点で、背骨が真っすぐ伸びるように意識する

(4)背骨が真っすぐ伸びてバランスを取ることができたら、足を真上に上げる

(5)尻と足を真上に真っすぐ伸ばし、頭も地面に向けて押すようにすることで背骨を伸ばす

ポイントは、三点倒立で身体を支えるときに、頭で地面を押し、お尻を真上に高く上げることで背骨を伸ばすことです。こうすることで、背骨を伸ばす力で全身の重みを支えることができます。

普段は足の強い力で地面に立っていますが、三点倒立では足の力が使えない分、背骨の力を意識せざるを得なくなります。

そのため、背骨を伸ばすエクササイズとして有効なのです。

怪我に気を付けて、できる範囲で行ってみてください。

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