ここ最近は在宅ワークをする人も増えているようですが、
「在宅ワークは、会社に行くより疲れやすい」
「ここ最近疲れやすくなった、疲れがとれにくくなった」
「オンオフつけにくくメリハリがつかない」
といった悩みもよく耳にするようになりました。
私は、フリーランスになってから在宅ワークをしていた時期が長かったですが、やはり最初は疲れやすさを感じていました。
しかし、生活を改善したり、これから紹介する習慣、運動を取り入れることで改善していくことができました。
この記事では、
- 在宅ワークが疲れる理由
- 在宅ワークで疲れる部位や悩み
- 在宅ワークの疲れを解消する方法
- 在宅ワークで疲れないためのグッズ
などについて詳しく解説しますので、ぜひ興味のあるところを読んでみてください。
1章:在宅ワークが疲れる理由
まずは在宅ワークが疲れる理由から説明します。
在宅ワークで疲れる、具体的な部位や疲れの悩みを知りたい場合は2章、在宅ワークでの疲れ解消の方法を知りたい場合は3章からお読みください。
①椅子やデスクがあっていないため姿勢が悪い
在宅ワークでは、リビングのテーブルや椅子を使って仕事をしている方も多いのではないでしょうか。
会社のデスク、椅子は仕事用に設計されたものを使っている場合が多いと思いますが、家のものは仕事用に設計されたものではない場合が多いと思います。
そのため、椅子やテーブルの高さがあってないために、疲れやすい場合もあります。このような場合、身体にあった家具を準備すれば、ある程度疲れにくくなるかもしれません。
しかし「仕事用のデスクや椅子を置く場所がない」「新しく買うほどじゃない」といった場合は、3章で紹介する方法をご覧ください。
また、以下の記事で解説しているように、正しい座り方ができるように注意することもおすすめします。
②動かない、同じ姿勢が続く
会社で働いているときは、ちょっとした移動があったり、立ったり座ったりすることもあると思います。
しかし、在宅ワークでは、一人でパソコンの前でひたすら作業することが多く「ほとんど動かない」「同じ姿勢を続けてしまう」ということが多いでしょう。
人間の身体にとって、実は動かないことや、同じ姿勢を続けることは大きな負担になってしまいます。
そのため、在宅ワークは疲れやすいのです。
③画面を見続けている
在宅ワークでは、画面を見続けているために疲れやすいというケースも多いです。
仕事でパソコンを見続けるということも多いと思いますが、家で一人で仕事をしていると、休憩中もスマホばかり見てしまうということも多いでしょう。
会社にいるときより行動パターンが少なく、画面を見ることばかりになってしまうために、疲れやすくなっているのです。
④メリハリがつかない
在宅ワークで疲れてしまう理由の1つは、メリハリがつかないことです。
通常は会社まで通勤することでオンとオフを切り替えやすいですが、在宅ワークでは同じ場所で働くため、オンとオフが切り替えにくいです。
同じ場所に一日中こもっていると疲れてしまいます。
⑤雑談や小休憩がない
在宅ワークでずっと一人で過ごしていると、人との雑談やちょっとした小休憩、息抜きを忘れて仕事し続けてしまうことがあると思います。
人と一緒に過ごしていると、意外と雑談や小休憩をしていてそれがリフレッシュになっているものです。それがなくなると、非常に疲れやすくなります。
⑥集中できる環境がない
在宅ワークでは、家が集中できる環境ではないために疲れやすくなる、ということもあります。
会社の場合、身の回りには仕事用のものしかないのが普通ですが、在宅ワークの場合、さまざまなモノが身の回りにあります。このように、いろいろなモノが周りにあると、それが認知ストレスになり気が散りやすくなります。
その結果、生産性が下がり、長く働かざるを得なくなり疲れてしまうこともあるでしょう。
このように、在宅ワークには疲れやすくなる原因が多くあります。
もちろん通勤時間がなくなるなどメリットも多いですが、疲れについては多くの落とし穴もあるのです。
そこで次に、在宅ワークによってどのような疲れ、不調が出やすいか説明します。
2章:在宅ワークで疲れる部位、悩み
在宅ワークでは、以下のような疲れ、不調が起こりやすいです。
具体的な不調の解消方法、対策は、3章以降で紹介しています。
①肩こり、首こり
在宅ワークでは、同じ姿勢を続けることが多く、運動も少なくなりがちですので、肩こりや首こりになりやすいです。
首こり、肩こりの原因は多くありますが、主に下記の原因があります。
- 長時間の同じ姿勢(特に座った姿勢)
- 目の使い過ぎ
- 血行が悪い
- ストレスが多い
- 仕事で神経が興奮した状態が続いている
肩こり、首こりになると常に不快感があり、仕事の生産性も落ちますので、3章で説明する方法で改善していくことが望ましいです。
※神経の興奮と心身の不調については、下記の記事も参考にしてみてください。
②目の疲れ、頭痛
目の疲れ、頭痛も在宅ワークによる疲れから起きやすいです。
在宅ワークでは、狭い室内で仕事をし続けるために、
- 近い距離ばかり見続ける
- 視点の移動が少ない
といった理由から目が疲れやすいです。
また、目の疲れから頭痛も起きやすいですので、目を使いすぎないようにしたり、外出を増やすことが大事です。
③腰痛
在宅ワークでは座る時間が長いことから、腰痛にもなりやすいです。
腰痛は慢性化したり、何度もぶり返すことが多いため、腰痛の原因を日常生活の中につくらないようにすることがとても大事です。
腰痛予防のためには、
- 正しい座り方で座ること
- 座っている時間を減らすこと
- 椅子の高さや形状をよく選ぶこと
- 体幹の筋肉を適度に鍛えること
- ストレッチして筋肉が柔らかい状態を保つこと
などが大事になってきます。
④背中のだるさ
在宅ワークの疲れから、背中のだるさを感じる方も多いようです。
机に向かってパソコンで作業し続けると、背中を動かさず緊張させたままになるため、だるさや疲れを感じやすくなります。
放置すると痛みなどにも繋がりやすいため、改善することが大事です。
これら以外にも、在宅ワークの疲れから起こる不調には多くのものがあると思います。
たとえば、なんとなくだるい、疲れが取れない、気分が落ち込む、仕事がいやになる、やる気がでない、などもあるでしょう。
症状が重ければ、それぞれ専門医などに相談するべきですが、軽い場合やまずは自分で対処したいという場合は、これから紹介する対処法や、グッズの活用を検討してみてください。
3章:在宅ワークの疲れを解消する方法
在宅ワークの疲れを解消したいなら、下記のような方法を試してみてください。
①正しい姿勢で座る
②できるだけ頻繁に動き回る、姿勢を変える
③疲れないためのトレーニングをする
④呼吸法を行う
順番に説明します。
在宅ワークの疲れを解消するためのグッズについては、4章で紹介しています。
①正しい姿勢で座る
正しい姿勢で座れていない場合は、疲れが溜まってしまいます。疲れたからと座り続けてますます疲れが溜まることもあります。
そのため、できるだけ疲れにくい正しい姿勢で座るように気を付けてください。
詳しくは以下の記事で、図解で解説しています。
②できるだけ頻繁に動き回る、姿勢を変える
在宅ワークで疲れる場合は、できるだけ同じ姿勢を続けないことが大事です。むしろ、頻繁に動き回ったり姿勢を変えるようにした方が疲れにくいです。
疲れが溜まってくると、多くの人は「疲れが取れるまでじっとしていよう」「座ったり、楽な姿勢で静かに過ごそう」と考えてしまいます。しかし、実はデスクワークなどを続けている場合は、動き回った方が疲れが取れることが少なくありません。
「じっとしている」「動かない」というのは「動かない」という運動を続けているようなものです。
同じ姿勢の維持によって、同じ部分の筋肉を使い続けて疲れたり、血行が悪くなってしまうからです。
そのため、
- ちょっとした家事をする
- 散歩や買い出しに行く
- 軽い運動をする
などをこまめに取り入れて、動き回る習慣をつくることをおすすめします。
③疲れないためのトレーニングをする
在宅ワークで疲れやすい場合、単に運動不足、筋力不足である場合もあります。
その場合は、とにかく何でもいいので日常的に運動することをおすすめします。家でできる簡単なヨガや筋トレでもいいですし、ランニングでもいいです。
また、下記のようなトレーニングをすることで、在宅ワークでも疲れにくい身体にしていくことが可能です。
■背骨を伸ばすトレーニング
疲れないためには、背骨をまっすぐに伸ばす感覚とその筋力を養うことが大事です。
背骨を伸ばすという感覚は、具体的には以下のようないくつかの動き、意識ができるようになることで生まれるものです。
①うなじを真上に伸ばす
まず、うなじを真上に伸ばす意識をしてみましょう。
背骨にはもちろん頸骨(首の骨)が含まれますが、背骨が伸びる意識を持つためには、頭を真上に伸ばすよりも、うなじを伸ばす意識の方が意識しやすくなると思います。
うなじを伸ばす、真上に数センチ上げるような意識を持つことで、首から下の背骨に少し張りが出るような感じが出ると良いです。
ただし、真上のつもりでも前後にずれてしまう場合がありますので、鏡などで見ながら慎重に行ってください。
➁しっぽを真下に伸ばす
次に、しっぽを真下に伸ばしてみましょう。
もちろん人間には通常、しっぽは生えていません。しかし、背骨の末端には尾骨があります。ここからしっぽが生えている意識をもって、それを真下に伸ばしてみます。
もちろん、ただ背骨の末端を真下に伸ばすだけの意識でも大丈夫です。
うなじを伸ばす意識と同時に、しっぽを伸ばす意識をすることで、背骨を上下に引っ張ることができます。
これが背骨を伸ばすという感覚です。
ただし、注意点がいくつかありますので、これから説明します。
③腰を反りすぎない
まず大事なのが、腰(腰椎)を反りすぎないということです。
ここでの腰とは背中の下部、お尻の上から背中の真ん中あたりまでの背骨のことです。
いわゆる「いい姿勢」をしようとすると、腰を反ってしまうことがあります。猫背にならないように意識しすぎて、腰を反る癖がついている方が少なくありません。
しかし、腰を反ると背中側のアウターマッスルを緊張させて姿勢を支えることになるため、長く続けると背中が疲れたり、こったりしてしまいます。
そのため、大事なのはあくまで背骨を伸ばして自然なS字を描けるようにすることです。
腰を反る意識がある人は、あえて少し丸める意識を持ってみましょう。
鏡で見て、背骨が真っすぐ平らになるくらいで大丈夫です。
この形を維持しようとすると、お腹側の筋肉を使わざるを得なくなります。そこで、少しずつお腹の奥を使えるように工夫してみてください。
④胸を張らない
背骨を伸ばす意識を持とうとすると、胸を張ってしまう方も少なくありません。
胸を張るというのは「胸椎(胸の部分の背骨)を反る」「肩甲骨を背中側に寄せる」という大きく2つの要素が組み合わさったものですが、このどちらも、正しい姿勢のためには逆効果です。
そもそも、背骨は自然なS字を描くものですが、胸(胸椎)の部分はやや丸まるのが自然な形です。そのため、この部分が反ってしまっているということは、背中側に余計な緊張があり、肩こり、首こりにも繋がりやすいのです。
胸が沿っているかどうかをチェックするポイントは、胸骨の角度です。
胸骨とは胸の真ん中にある骨ですが、この胸骨の下の方が前に出てしまっている場合、胸椎を反ってしまっている可能性があります。
その場合は、お腹に少し力を入れて胸骨を垂直の角度にするようにしてみましょう。
お腹に力を入れると、身体の前と後ろの筋肉のバランスが取れてフラットになります。そして、胸の反りがなくなり、背骨を上下に正しく伸ばすことができます。
④呼吸法を行う
在宅ワークのようにデスクワークが多く、動きが少ない生活をしていると、自然に「呼吸が浅くなる」「呼吸を止めている」「呼吸するのに、無駄な筋肉を使っている」ということも少なくありません。
そもそも、運動量が減りストレスが多い現代人の呼吸は「吸い過ぎ」であり「吐ききれていない」と言われることが多いです。呼吸に問題があると、
- 呼吸が浅く、息苦しさや頭痛の原因になる
- 胸、首まわりや背中などに余計な緊張ができ、疲れやこりになる
- 交感神経が興奮しやすく闘争、緊張のモードが続いて疲れる
といったことに繋がるのです。
簡単に呼吸法のポイントを整理すると、下記のようになります。
- 吸う時:胸、腹、背中の全部に空気が入るように3~4秒かけて、姿勢を崩さずに吸う。
- 吐く時:胸、腹、背中の全部が同じだけ縮むように吐ききり、吐いた後数秒息を止めておく。
詳しく説明します。
《吸う時のポイント》
(1)胸、腹を360度膨らませるように吸うこと
まず、息を吸うときは胸からお腹まで全部を膨らませるように吸うことが大事です。
よく「お腹を膨らませるように呼吸しよう」とか「胸を膨らませないようにしましょう」と言われることがありますが、どこか一部を膨らませるような呼吸は、日常においては避けたいです。
むしろお腹から胸、そして背中まで、体幹が360度膨らむような呼吸を行うことが大事です。
具体的には、肋骨の一番下あたりに手を当てて、そこがお腹側、背中側に同じだけ膨らむように息を吸うようにしましょう。
(2)吸う時間は長くしすぎないこと
また、息を吸うときはゆっくり吸い続けず、3~4秒くらいで吸ってしまうことが大事です。
もう少し詳しく言うと、吸う時間と吐く時間、そして吐いた後に止める時間が「1:3:1」くらいか「1:4:1」くらいになるのが理想です。
(3)姿勢を崩さないこと
大きく息を吸おうとすると、
- 胸や腰を反らせる
- 首を上向きにする
などの動きをしてしまう方もいますが、このような動きはしないようにしてください。
こうすると、呼吸する上で本来不必要な筋肉を使ってしまい、余計な疲れになるからです。
そのため、前述した正しい姿勢を維持したまま、腰も胸も反らせずに吸うことが大事です。
《吐く時のポイント》
(1)肺の中の空気をすべて吐ききるように吐く
上記のように息を吸ったら、次に肺の中の空気をすべて吐ききるようにして吐いてください。
呼吸が浅くなってしまっている多くの方は、吐いているつもりでも吐ききれておらず、肺の中に空気が残っているのにまた吸ってしまう、ということを繰り返しています。
そのため呼吸法のトレーニングとして行うときは「吐ききった」と思ったところから、さらに頑張って吐ききるようにしましょう。
(2)胸、腹が360度縮むように吐くこと
息を吐く時も、胸、腹、背中が同じだけ縮むように吐くことが大事です。
吸うときと同じように、肋骨の一番下を手で触りながら、4つの点が同じだけ縮むように意識して吐いてください。
慣れるまでは、実際に触って行うとやりやすいです。
(3)吐いた後数秒息を止めること
息を吐ききったら、それから数秒は息をとめてみてください。息を止めることで、さらに体内の酸素が消費され「体内の酸素がなくなってから吸う」という健全な呼吸ができるようになります。
この呼吸法をトレーニングして習慣化すれば、普段から呼吸が深くなり、疲れにくい身体になっていきます。
4章:在宅ワークで疲れないためのグッズ
最後に、在宅ワークで疲れないためのグッズとその使い方を紹介しますので、これからも在宅ワークが続くという方は参考にしてみてください。
①バランスボールに座る
バランスボールに座ると、自然と疲れにくい姿勢になります。そのため、トレーニング時などだけでなく日常的に利用することをおすすめします。
②風船で息を吐ききるトレーニング
疲れないための方法として呼吸法を紹介しましたが、呼吸のトレーニングに風船を使うことがおすすめです。
風船を使うことで、息を吐ききる意識を養えるからです。まずは小さいサイズのものからトライしてみてください。
③骨盤矯正用のイス
普通のイスでは疲れてしまう場合は、骨盤矯正用のイスを購入してイスの上に置いて使うことをおすすめします。
下記のようなものですので、多くの方が目にしたことがあると思います。驚くほど正しい姿勢が楽になりますので、おすすめします。
④外付けディスプレイで目線の高さを適切に
ノートパソコンは構造上、目線が下に向いてしまうため、姿勢が崩れて猫背やストレートネックになりやすいです。
そのため、在宅ワークでは外付けディスプレイを活用して、目線が下がらないように調整することをおすすめします。
⑤ストレッチポールで背中をほぐす
在宅ワークで疲れたら、ストレッチポールで背中をほぐすことをおすすめします。具体的な方法はYouTubeなどにも多く紹介されています。
⑥木刀で素振りをして肩こり予防
在宅ワークで疲れたら、木刀で素振りすることもおすすめします。
多くのデスクワークや日常生活の動作では、肩を上に上げることが少ないです。そのため、肩関節を大きく動かす素振りのような動きをすることで、血行を改善し肩こり予防をすることができます。
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