怪我への対策

武術・武道での肘のケガとセルフケア

武術・武道を続ける中でどこかしら身体の不調を抱える方は少なくありません。

私は怪我が少ない方ではありましたが、10代のころに空手の練習で無理をしたのか、片方の肘を痛めやすくなっていました。特定の角度で曲げたり、力を込めたりすると痛みがあったのです。

「痛みがあった」と過去形で書いているのは、施術を受けたりストレッチをしたりすることで、ほとんど治ってしまったからです。

1章:武術・武道での「ゴルフ肘」「テニス肘」

武術・武道でのケガにもいろいろあると思いますが、私の場合はいわゆる「ゴルフ肘」「テニス肘」と言われるケガでした。

おそらく、十代の頃の空手の練習や筋トレによって負荷をかけすぎて痛めてしまい、それが慢性化してしまったのでした。

肘の内側(内側上顆)に痛みがあったのですが、これは内側上顆炎と言われるもので、一般的には「ゴルフ肘」「テニス肘」と言われます。逆に、肘の外側を痛めた場合は外側上顆炎と言われます。武術・武道の場合は、どちらかと言えば内側の方が痛めやすいのではないかと思います。

この肘の内側の内側上顆という部分は、肘の屈筋が集まっています。そのため、屈筋を使いすぎるとこの部分が炎症を起こしやすいようです。また、最近ではデスクワークを続けることで、肘を常に曲げたままタイピングなどで前腕の屈筋群を常時緊張させてしまうために、スポーツをしていないのに炎症を起こしてしまう人もいるとか。

武術・武道の場合は、

  • 突き(パンチ)などの技の練習
  • 腕立て伏せや懸垂など肘に負荷がかかる筋トレ

などが痛める原因になるのではないかと思います。

私も、肘を痛めた時期は腕立て伏せを多くやり、また巻き藁突きなども多く行っていたため、負荷が多すぎたのでしょう。

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2章:病院でも治りにくい武術・武道のケガ

私は、肘の痛みがなかなか治らないため、スポーツのケガに強いという噂だった近所の整形外科に行きましたが、レントゲンまで取ったのに「ちょっと炎症を起こしてるね」と言われて、シップを渡されただけでした。しかしシップだけでは、私の場合は治りませんでした。

そのため、その後も他の整形外科に行ったり、整骨院に行ったりしましたが、いっこうに治らないまま10年以上も騙し騙し来てしまいました。

痛みがひどい時期は、数か月肘に負担がかからないように、腕を使う練習やトレーニングをやめたりもしていましたが、それでも痛みはひきません。

結局、この痛みが改善したのは均整法という整体の一種を受けたつい最近だったのでした。

このように病院でも痛みが改善しなかったのは、

  • 炎症自体はそれほどひどくなかった
  • しかし、一部の筋肉の緊張が強く、橈骨の動きをずれさせていた

というのが理由だったようです。

ゴルフ肘やテニス肘は長引き、なかなか治らないという話を耳にしますが、それは炎症そのものではなく、私と同じような筋肉の問題があるからなのかもしれません。

3章:武術・武道の肘のケガでおすすめの治療・セルフケア

私が実際に効果があった治療・セルフケアを紹介します。

3-1:均整法

1つは、先ほど軽く触れた均整法という整体の一種のような手技による施術です。

均整法というのは、さまざまな伝統的な手技療法を体系化したもので、さまざまなアプローチからケガなどの不調にアプローチしていけるのが特徴なのだと思います。

私は、たまたま見つけた施術院で施術を受け、それで大幅に改善することができました。

ただし、それ以外にもいろいろ試しました。それが下記のようなものです。

3-2:温寒療法

私の場合、やはり前腕の屈筋群が緊張したままになってしまっているのが原因と言われ、その改善のために温寒療法が良いと言われたため試しました。

私の場合、お風呂に入っている時に、しっかり腕を温めた後、肘に冷水シャワーをしばらくあてて冷やし、またそれを温めるという形で行いました。

このようにすることで血流が一気に流れ、緩みやすくなるとか。

3-3:ストレッチ

他にも、肘を中心としたストレッチを行いました。

ただし、肘を伸ばして指を反らしたりするような一般的なストレッチでは、正直効果がありませんでした。しかし、下記のようなストレッチは効果があり、痛みが軽くなり再発しなくなったのです。

■肘のストレッチ①

  • 肘を反対の手で固定し、上腕を地面と水平にした状態で手のひらを肩の方に向ける
  • ここから5秒くらいかけてゆっくり肘を完全伸展させつつ、同時に手のひらを前に向ける(肘から先の内旋)
  • ここから最初の位置に戻し、それを繰り返す

■肘のストレッチ➁

  • イスに座って腕をだらっと垂らし、そこから上腕を後ろに引いて肘を曲げる。手のひらは後ろに向ける(内旋させている)
  • この形のまま肘を伸ばして完全伸展させ、そこから5秒くらいかけてゆっくり元の位置に曲げていく。これを繰り返す。

※内旋とは、手を前に出した形で、手のひらを下に向ける動きのことです

このようなストレッチを繰り返すことで、肘の痛みが引いて普通に動かせるようになりました。

また、最近始めた沖縄拳法空手の鍛練も、良い影響に繋がっているように感じます。

3-4:肘を強く外旋させる動き

私の内側上顆の痛みの原因は、おそらく橈骨(前腕の親指側の骨)が、肘を曲げ伸ばしするときにずれて動いているからだろうとのことでした。

そのため、前腕を強く外旋させて橈骨を外に引っ張るようなストレッチをすると、ある程度効果がありました(一時的ですが)。

しかし、沖縄拳法空手を始めてからは「突きの鍛練」などの鍛練で、上腕、前腕を共に強く外旋させる鍛練をするようになり、これがセルフケアになっているようです。

強い外旋を続けることで、橈骨が正しいポジションを取れるようになったのかもしれません。

3-5:身体の偏った使い方を辞める・多様な使い方をする

人類はもともと、長い進化の過程で身体を多様な使い方をしていました。しかし文明的な生活をするうちに生活様式や働き方が画一的になり、偏った使い方になっていきました。その結果が、私のような怪我であったり、多くの人を悩ませる「腰痛」「肩こり」などの症状であるようです。

武道・武術をやっていても、日常生活では身体の偏った使い方をしていたり、鍛練のために偏った使い方を続けてしまう場合があります。その結果、偏った使い方を続けるうちに器質的な変化が重なり、痛みなどの症状になるようです。

そのため、身体の偏った使い方を改善していく、多様な使い方をするように意識的に運動するというのも重要です。

私の場合は、アニマルフローというトレーニングを取り入れていますが、これは普通の生活にも、武道の鍛練にもない動きをするため、結果的に整体的な効果があるように感じています。

アニマルフローを始めた時期と、肘の怪我が治ってきた時期とは重なっているため、アニマルフローの導入も改善に繋がっているように思います。

最近の状態を検査したわけではないため細かいことは分かりませんが、これらの対策によって、肘の痛みはほぼなくなり普通に動かせるようになっています。

武術・武道をやっている方だけでなく、他のスポーツでゴルフ肘、テニス肘になってしまった方も、ぜひ試してみてください。

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