あなたは、
「コーチングの傾聴の技術ってどんなもの?」
「傾聴スキルを身につけたらどんなメリットがある?」
「どうやったら傾聴の力が高められるの?」
などと疑問に思ったことはありませんか?
結論から言うと、コーチングの「傾聴」は「ただ耳を傾ける」ことではありません。
コーチングにおける傾聴は、コミュニケーションを円滑にし相手との信頼関係を築くための、総合的なスキルのことです。
そのため、もしまだ「傾聴」について十分に知らないならば、この記事で解説していることをしっかり身につけることで、より円滑なコミュニケーションができ、より強い信頼関係を築けるようになるはずです。
そこでこの記事では、まずはコーチングの「傾聴」スキルの考え方と身につけるメリットについて、そして具体的な傾聴のスキルの内容と身に付け方を詳しく解説します。
知りたいところから読んで、実際の生活や仕事の中でどんどん活用してくださいね。
コーチングにおける傾聴とは?
コーチングにおける傾聴とは、相手との信頼関係を築き、より創造的なコミュニケーションを可能にするための総合的なスキルのことです。
そこでまずは、コーチングにおける傾聴スキルについて、
- コーチングの傾聴の役割
- コーチングの傾聴と日常的なコミュニケーションの違い
- コーチングの傾聴スキルを磨くメリット
について順番に解説します。
それより具体的なスキルの内容から知りたい場合は、2章からお読みください。
コーチングの傾聴の役割
コーチングでは「認める」「傾聴」「質問」「フィードバック」の4つが大事なスキルです。
傾聴が大事なスキルの一つに数えられているのは、傾聴スキルに、
- クライアントに対して「安心感」「信頼感」を与える
- コーチがクライアントから様々な情報を得る
- クライアントに自信を与える
という役割があるからです。
役割①安心感、信頼感
まず、コーチはクライアントとの間に良好な信頼関係を構築しなければなりません。なぜなら、クライアントはコーチのことを信頼できていなければ、素直に話すことができないからです(この信頼関係のことを、コーチングではラポールと言います)。
したがって、セッションの中ではできるだけ「ちゃんと話を聞いてくれてる」「私のことを認めてくれている」「よく見てくれている」と、クライアントに思ってもらうことが大事なのです。
また、相手に信頼感や好感度、安心感を与えることで相手の心の声を聞けるようになり、より良い情報収集もできます。
役割②情報収集
コーチは30分〜60分という限られたセッションの時間の中で、クライアントから質の高い情報を得る必要があります。
また、プロコーチとのコーチングに限らず、社内で上司が部下に行うようなコーチングでも、限られた時間内に情報収集しなければならないのは一緒です。
コーチングセッションは、初対面でもその時間内に相手に何らかの価値を提供する必要があります。そのため、少ない時間内に相手のことを知り、的確な質問を投げかけることが大事です。
そこで活用できるのが傾聴のスキルなのです。
傾聴スキルがあると、相手から可能な限りの情報を得ることができます。すると、その集めた情報から適切な質問を投げかけ、さらに相手の情報を引き出していくことができるからです。
役割③自信を与える
コーチングを受けるクライアントの中には、すでに行動するために答えは出ているのに行動できないということがあります。
その原因は「行動するための自信が無い」「自分の判断が正しいか自信が無い」「人の評価が気って行動できない」といった、自信のなさにあることがあります。
コーチングでは、クライアントからたくさんの言葉、感情、思考、アイディアなどを引き出し、整理し、行動に促していきますので、その過程でクライアントは自分自身の本音を知り、行動できるようになることがあります。
また、実は自分のことを低く評価しすぎていたり、失敗に焦点を当てるあまり不必要な心の負担を持ってしまっていることもあります。
そのような場合、コーチングでアタマの中を整理することで、再び自信を取り戻せるようになることがあります。
コーチングの傾聴と日常的なコミュニケーションの違い
では、コーチングの「傾聴」と日常的なコミュニケーションにおける「聞く」スキルとはどのような所が異なるか分かりますか?
もちろん、2章で紹介するように具体的な手法における違いもあります。
しかし、考え方としては、日常的なコミュニケーションにおける「聞く」が「耳」を中心としたものであるのに対し「傾聴」は耳だけでなく、目や心まで使って相手の話に耳を傾ける手法です。
そのため、目で見て分かる相手の顔色、雰囲気、呼吸の変化を見たり、言葉で言っていることと本当に思っていることは一致しているのか、想像力を働かせて心の目で見たりすることも「傾聴」なのです。
コーチングの傾聴スキルを磨くメリット
コーチングの傾聴スキルを磨くと、プロのコーチではなくても以下のようなメリットがあります。
- 人間関係が円滑になる
- 人が何でも素直に話してくれるようになる
- 相手が本音を話していない時に、違和感をキャッチできる
- 人に対して信頼感を与えられる
- より質の高いコーチングができる
それではこれから、コーチングの傾聴スキルについて具体的な方法を解説します。
コーチングの傾聴の6つのスキル
傾聴には、以下のスキルが含まれますので、ぜひできることから取りかかってスキルを向上させてください。
- うなずく(相づち)
- ペーシング
- 要約する、言い換える
- 接続詞を使う
- 沈黙する
- 見た目の変化を見る
順番に解説します。
うなずく(相づち)
もっとも使いやすいのは、うなずく、相づちを打つということです。これはすでに意識されている方も多いかもしれません。
うなずくことで相手に「聞いてくれている」という安心感を与えられますので、よく聞いているよ!と思ってもらいたい場合に効果的です。
ただし過剰にするとわざとらしくなりますので、ほどほどにするようにしましょう。
ペーシング
ペーシングとは、クライアントのペースに合わせることです。
たとえば、
- 話す速さ
- 言葉遣い(丁寧さや使われる語彙)
- 表情
- 声のトーン
- 呼吸の速さ、深さ
- しぐさ
- 姿勢
などがあります。これらについて、基本的にはクライアントと一致できるように意識しましょう。
ペーシングすることで、より話しやすい雰囲気を作ることができます。
一気にすべてを意識することは難しいかもしれませんが、できるものからやってみてください。
要約する、言い換える
コーチングセッションでは、クライアントは考えながら話すため、話が断片的だったり、具体的なエピソードがたくさん出てきたりします。
そして、クライアントは考えながら話しているため、後から自分でも何を話したか覚えていないことがあります。
そこで、コーチはクライアントが話したことを要約したり言い換えたりして、より分かりやすい言葉にまとめることを意識すべきです。
要約、言い換えをすることで「要するに何の話をしているのか」を明確にし、話の方向性をハッキリさせることができます。クライアントにとっても、コーチにとっても話を整理することができ、どこに向かっているのか分かりやすくなります。
接続詞を使う
コーチングでは、クライアントによりたくさんのことを話してもらうことが大事です。
そこで、
- それで?
- 他には?
- 具体的には?
- つまり?
など接続詞を使うことで話を促したり、より深掘りして話を聞くことがあります。
これは「質問」のスキルと被るところではありますが、相手の話をより深く聞くために行うという意味で傾聴のスキルでもあります。
沈黙する
傾聴のスキルとしては「沈黙する」ことも大事です。
コーチングで話すべきなのはクライアントです。そのため、クライアントが話したいときはできるだけ口を挟まずに、沈黙することが大事です。
時には、クライアントから言葉が出なくなり、こちらが話したくなる場面もあると思いますが、あえて話さず沈黙することで「あれ、もっと話してみるか」と思わせて話させるという方法もあります。
ちょっと使うのに勇気が要るかもしれませんが、クライアントを信じていればできるはずです。
よりたくさんの言葉を引き出す上で有効なスキルなのです。
見た目の変化を見る
ここまで紹介したスキルよりも高度ですが、
- 相手の顔色
- 表情の変化
- しぐさ、くせ
- 目線の移動
- 姿勢の変化
- 呼吸のスピードや深さ
- 身体の緊張、力が入っているかどうか
などを観察することでも、クライアントから情報を引き出すことができます。
たとえば「この人は、本音で話してないな」「この話になると緊張するみたいだな」「いまホッとしたみたいだな」などを、観察することで見抜くことができます。
すると、なぜ言葉と態度が一致しないのか、それを聞いてみることもできるでしょう。
見た目の変化を指摘してあげることで、クライアントは自分でも気づかなかった変化を知り、新しい気付きを与えることができます。
これらが、コーチングの傾聴のスキルです。
おそらく、普段から無意識に、もしくは意識的に行っていることもあると思いますが、すべてを自然にできるようになれば、あなたの傾聴力は格段にアップすることでしょう。
傾聴力上達の一番の近道
最後に、私が傾聴力を向上させるために意識していることを紹介します。
それは、
- 傾聴力がある人の真似をする
- 自分の得意な傾聴スキルを高める
ということです。
傾聴力がある人の真似をする
一番傾聴力が身につくのが、傾聴力を持っている身近な人の真似をするということです。
あなたの周りにも、あなたより傾聴力が高く「あの人になら何でも話せる」「信頼感、安心感がある」「みんなから相談されている」という人はいませんか?
そういう人がいたら良く観察して、どんな手法を使っているのか探してみましょう。
観察していれば、傾聴力向上のための何らかのヒントが見つかるはずです。
自分の得意な傾聴スキルを高める
また、先ほど紹介した6つの傾聴スキルの中から、すでにできているものをピックアップして、それを「得意技」として磨くこともおすすめです。
すべての傾聴スキルをまんべんなく磨いていくよりも、自分がすでにできているものをさらに強化していく方が、傾聴力を向上させやすいように思います。
なぜなら、おそらく一つの「柱」になるスキルがあった方が自信を持って傾聴でき、その結果として他の傾聴スキルも伸びてくるだからだと思います。
「得意なものなんてない」
と思われるかもしれませんが、何か一つ、比較的できるものを見つけてみることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
実は、私自身傾聴力はもともと高くなく、以前はコミュニケーションに苦手意識を持っていました。今でもコミュニケーションを100%うまくできているかというと、まだ改善の余地はあると思います。
しかし、コーチングと出会って様々な知識を得て、実戦経験を積む中で、少しずつ傾聴力を身につけることができてきました。
傾聴力を伸ばすには、とにかく場数を踏むことが大事です。
実践を重ねて、コーチングやコミュニケーション能力の向上に役立ててくださいね。
■剣術師範、整体師(身体均整師)、ライター。セルフケア・トレーニングのオンライン教室運営中。
■池袋周辺で施術・トレーニングを行います。【旧:ふかや均整院】
■現代人の脳・感覚の使い方の偏りや身体性の喪失を回復するために【suisui】という独自のプログラムをオンライン教室中心に運営しています。