「体がゆがむってよく聞くけど、なぜゆがんでしまうんだろう。」
このような疑問をお持ちの方は多いと思います。
結論から言えば、体がゆがんでしまうのは、現代人の生活がゆがまざるを得ない形になっているからです。そのため、ゆがみが出てしまうのはある意味で仕方ないことなのです。
しかし、だからと言って放置して良いわけではありません。
ゆがみを放置すると、さまざまな心身の不調や怪我に繋がる可能性があるからです。
この記事では、体がゆがむ原因と具体的な対処法を紹介します。
1章:体がゆがむ原因となる行動一覧
体がゆがむ原因となるのは、下記のような行動です。
1-1:座る時間が長い
現代人はそもそも座りすぎであると言われています。
人類は何万年も狩猟採集生活をしていたのですが、そのころは毎日10キロ前後も歩いたり走ったりしており、またイスのようなものもなく、その辺に座ったり、疲れたら寝っ転がったりと好き勝手生活していたようです。
それに比べると、現代人は動かなすぎます。1日の大半を同じようなイスに座り続けています。そもそも人間の体はイスに座ることに特化して進化したわけではなく、イスに座るようになったのはほんの最近のことです。
そのため、座る時間が長いほど、
- 猫背
- 反り腰
- 巻き肩
- 首が前に出る
- 背中が硬くなる
といった癖がつき、痛みや不調に繋がるのです。
1-2:体を動かすことが少ない
前述のように、本来人類は動き回って生活してきました。これほど動かずに生活できるようになったのは、ここ数十年のことです。このような生活に人間の身体は最適化されていないため、体を動かす時間が少ないと使わない部分が衰え、体全体から体系性が失われ、ゆがんでしまいます。
1-3:仕事で同じ動きばかりしている
人間の体は使ったように作られていきます。
そのため、仕事で同じような動きばかりしているという場合は、その使い方によって体がゆがんでしまいます。
典型的なのは、
- PCに向かってのデスクワーク:ほとんど体を動かさないが、指と目を酷使し肩回りを固めてしまう
- 農作業(伝統的なやり方):前かがみで行い腰が曲がってしまう
- 工場のライン作業:前かがみで腕だけを酷使する
といったものです。
同じ動きを続けるほど使う部分と使わない部分の差が大きくなり、それが歪みや不調に繋がります。
2章:体がゆがむ根本の原因は人の生活全般にある
1章では、体がゆがむ具体的な行動について簡単に紹介しましたが、そもそも現代人は「普通に過ごしているだけで体をゆがめてしまう」ものだ、と知っておくことが大事です。
たとえ体をゆがめるような習慣を特に持っていなくても、ゆがみが出てくるのが普通なのです。
その理由を説明します。
2-1:人は本能に反して行動する唯一の生き物
そもそも、人間は非常に特殊な動物で、本能に反して行動する唯一の生き物です。
普通の動物や数万年前の人類であれば、進化してきた体に無理なく行動して生活していました。それだけ本能によって行動が統轄されていたからです。
しかし、人類は少しずつ頭脳を使って生活を変えて文明を築き上げるようになっていきました。その結果、生活の中で本能に反した行動をする時間が、少しずつ増えていったのです。
2-2:文明的な生活を進めるほど、生活様式に影響が出る
たとえば、人類の一部は数千年ほど前から、狩猟採集生活から農耕生活へと移行していきました。自然の恵みを見つけたり、狩りをして生活する形態から、自分たちで穀物などを栽培して生活するようになったのです。
このような生活をするようになったことで、人類の生活は労働時間が長くなり、またその働き方も身体に不自然な負荷をかけるようなものに変わっていきました。
人類は農耕によって人口を増やし、集住し、その中から権力者が生まれ、、と文明を発達させていきました。それと共に人類は、生活様式も、仕事の仕方も変えていったのです。
農耕生活から、徐々に商工業が発達し、都市が発達し、生活も便利になっていきました。
そして、仕事の仕方が自然なものではなくなり、無理な姿勢を続けたり、特定の動きばかりを繰り返すようなものに、生活の中でもイスやベッドが生まれ、特定の姿勢を続けることが当たり前になっていきました。
産業革命後は工業を中心にさまざまな仕事が増え、分業が進み、一人の人間が行う作業は画一的なものになっていきました。
さらに現代の現役世代が働く時代には、IT化が進み、多くの仕事が体を使わないオフィスワークになり、座り続ける時間が増えました。
娯楽もSNS、YouTube、その他ネットやゲームで完結するようになり、動かない、座り続ける、でも手や目ばかりは使う、という生活になってきたのです。
人間はそもそも、自然の中で生活していたころは動きすぎるとカロリーを消費し、飢餓状態になる危険性があったため、動かなくていい生活になるほど、動かなくなるものです。
こうして、人間の生活はより動かないものに、より不自然な動きの多いものになっていったのです。端的に言えば、人類の歴史は、長い進化の過程で身に付けた身体を不自然に使うように進んできた、ということもできます。
2-3:どんな体の使い方をしていても体はゆがむもの
ここまで読んで「自分はたくさん運動してるから大丈夫」と思われた方もいるかもしれませんが、注意すべきなのは、人間の体はどのような使い方をしても、基本的にはゆがんでしまうということです。
現代人はすでに本能から外れて、生活の多くを「文化」の中で行っています。
つまり、歴史の中で生み出した生活様式や仕事の仕方、制度、道具、などと生活が不可分になっているため、どうしても身体構造上、不自然な生活をせざるを得ないのです。
そして、日常生活における多くの姿勢や動きは、文化によって「つくられた姿勢、動き」であるため、普通の生活をしていればどうしても体はゆがんでしまうのです。
3章:体がゆがまない生活をするための3つの考え方
ここまで説明してきたように、体がゆがむ原因は日常生活全般にあるもので、なかなか避けることができません。
しかし、原因自体は取り除けなくても、ゆがまないように気を付けて生活することはできます。これからその具体的な方法を紹介します。
3-1:長く同じ姿勢、動作を続けないようにすること
体をゆがませないためには、とにかく長く同じ姿勢や動作を続けないことが大事です。
たとえば、座り続ける、立ち続ける、PCでタイピングし続ける、長時間の運転など。とはいえ、仕事や生活をする上で長時間の同じ姿勢、動きが避けられない場合もあると思います。
その場合も、次のような対処法を行えば、ゆがみを改善していける可能性があります。
3-2:頻繁に体を動かすこと
まず、できる限り頻繁に体を動かすことです。
たとえば、
- 30分ごとに立ち上がって伸びをする
- こまめに軽いストレッチをする
- 散歩する
- 家事をする
などです。仕事中もですが、休みの日などもずっと座ったり、寝っ転がったりしないようにすることが大事です。
逆に、何時間も同じ姿勢を続けて働いた後ジムに行ってしっかり運動している、という方もいると思いますが、歪みを改善する目的なら、まとまった時間で運動するより頻繁に軽い運動をする方がおすすめです。
3-3:とにかく体を多様に使うこと
繰り返しになりますが、現代人が体をゆがめてしまう原因は、自然から離れた生活をしてしまっているからです。
言い方を変えると、文明的な、画一的な生活をしてしまっているということです。
毎日同じ姿勢、同じ靴、同じ道、同じ仕事、、こういう生活で体をゆがめてしまっています。
そのため、対策としてはとにかく体を多様に使うことが大事です。
たとえば、私も行っているアニマルフローでは体を多様に動かすため、体がゆがむことを防げる可能性があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
アニマルフローをトレーニングするメリットは身体の使い方を高めること
他にもヨガやピラティスその他のボディワークも、普段使わない使い方で身体を使うため、効果があります。
普通の筋トレやスポーツもある程度は効果がありますが、筋トレであれば特定の関節を固定して動かすことが多いため「ゆがみを解消する」という目的では効果が少ないです。
また、スポーツでも一種目をとことんやるよりも、いくつも行って特定の運動に偏った生活にしないことが大事なのです。
まとめ
最後にまとめると、
- 人間の体がゆがむ原因は、同じ姿勢を続けることや、動きの少ない生活にある
- 人類の生活は、より動かないものに、より特定の姿勢や動きを繰り返すものに変化してきたため、普通の生活を続けるだけで体がゆがむ
- 体のゆがみを解消するためには、頻繁に体を動かすこと、多様な運動をすることなどが大事
ということです。
可能な範囲から少しずつ生活を変えていきましょう。
■剣術師範、整体師(身体均整師)、ライター。セルフケア・トレーニングのオンライン教室運営中。
■池袋周辺で施術・トレーニングを行います。【旧:ふかや均整院】
■現代人の脳・感覚の使い方の偏りや身体性の喪失を回復するために【suisui】という独自のプログラムをオンライン教室中心に運営しています。